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開幕戦でいきなり2発。ブラサカ日本代表のエース黒田の”聴能力”とは?

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黒田智成(中央)は相手DFに寄せられながら左足で強烈なシュートを放つ

 ブラサカの東日本リーグが2日に開幕。昨季のリーグ戦全勝のたまハッサーズは2-1でbuen cambio yokohamaを振り切った。たまハッサーズの日本代表ストライカーFP黒田智成は後半7分、個人技で3人を抜き去り、左足でこの日2点目となる決勝ゴール。相手GKとゴールポストに空いたわずか30㌢ほどしかない左側のスペースをあえて狙った、技ありのゴールだった。

「(シュートを打つ直前の)体の角度からいってファー(右側)には打てなかった。あの角度からはあそこしかないかな、と。GKの位置は何となく把握できていました」

 2人の相手DFをかわした後、左サイドへむかって弧をえがくようにドリブルし、3人目の相手DFのプレッシャーを受けながら左足を振りぬいた。このとき黒田は相手GK大和田澪央の声と、そのゴール裏からピッチの選手に指示を出すガイド・大石智子の声の聞こえてくる方角を察知し、その声の聞こえ方によって自分と相手GKの位置関係を把握していた。

「ブラインドサッカーはガイドの声、GKの声、監督の声、すべてがあって成り立つスポーツだと思います。僕はコートの広がりを常に意識しながらプレーしていて、相手GKとガイドを一直線に結んだ線をもとに、コートの縦関係をイメージします。あの場面はGKの指示の声の角度とガイドの声の角度の”ズレ”で、GKが左に寄っているだろうと予測しました。決まってよかったです」

 目を通して見えなくても、耳を駆使して「見えて」しまう。黒田はこれからも感覚を研ぎすませながら、ゴール量産を目指す。  

(取材・文 林健太郎)

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