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7人の漫画家による7つの障がい者サッカーTシャツが完成、日本代表サポ・ちょんまげ隊長ツンさんが収益分を寄付へ

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(左から)原博実氏、松田薫二JIFF専務理事、ちょんまげ隊長ツンさん

 日本障がい者サッカー連盟(JIFF)は16日、JFAハウスで寄付プロジェクトの受け渡し会を行ったことを発表した。

 同プロジェクトは、サッカー日本代表サポーターのちょんまげ隊長ツンさんによる、2020年にコロナ禍の影響を受けた障がい者サッカーの支援を目的としたもの。Tシャツをつくることで7つの障がい者サッカーを知ってもらう機会をつくり、その販売収益を寄付した。Tシャツは2020年7月から販売。現在までに365枚を売り上げ、その収益62万500円はJIFFを通じ、7つの障がい者サッカーにコロナ対策費用として渡った。

 7つの障がい者サッカーのTシャツを描いた漫画家は、高橋陽一氏(ブラインドサッカー)、森下裕美氏(電動車椅子サッカー)、能田達規氏(デフサッカー)、大武ユキ氏(ソーシャルフットボール)、鈴木大四郎氏(アンプティサッカー)、高田桂氏(CPサッカー)、hiroki氏(知的障がい者サッカー)。Tシャツの中心には、Jリーグ副理事長の原博実氏による「Jの力を信じてる」の題字が書かれている。

 寄付受け渡し会には、JIFFの松田薫二専務理事、原氏、ちょんまげ隊長ツンさんが出席した。松田専務理事は「JIFFとしては、寄付だけでなく、このTシャツが7つの障がい者サッカーのことを知ってもらえる機会にもなり、二重の嬉しさです」とコメント。「いただいた寄付は、目的の通り、7団体のコロナ対策の費用に使われるように進めて行きます。ほんとうにありがとうございました」と感謝を伝えている。

 ちょんまげ隊長ツンさんは今回の取り組みについて「障がいがあることでより感染対策をしないといけないこともあるなど、おそらくサッカーの中でも、障がい者サッカーが一番大変なのではないかと思います。しかし普段の予算でも厳しい中、プラスアルファで(コロナ対策費が)出ていくわけなので、そこを補填したいという思いがありました」と始めた経緯を明かした。

 Tシャツは2021年4月で販売を終了。その後は夏の再開が検討されている。

・販売サイト
https://soccerpower.shop-pro.jp/

・問い合わせ先(ちょんまげ隊長ツンさん公式Twitter)
https://twitter.com/tsunsan

以下、寄付受け渡し会の出席者3名のコメント
・松田専務理事
「この度は障がい者サッカー7団体に対し、愛の溢れる、心のこもった寄付をいただき、心よりお礼申し上げます。コロナ禍の中、『サッカー界で一番困っているところはどこだろう?』の思いから、障がい者サッカーに結びついたのは、日頃から障がい者サッカーにも寄り添い、状況をよく把握されているツンさんだからこそだと思います」

「そして、その後がすごいです。出版社が全て異なる著名な7人の漫画家の方に、7つの障がい者サッカーのイラストを依頼し、そのイラストをひとつにまとめたTシャツを作るという、そのすごい発想と実行力。なかなかできることではありません。原博実さん直筆の『Jの力を信じてる』という言葉も素敵ですね。JIFFとしては、寄付だけでなく、このTシャツが7つの障がい者サッカーのことを知ってもらえる機会にもなり、二重の嬉しさです。いただいた寄付は、目的の通り、7団体のコロナ対策の費用に使われるように進めて行きます。ほんとうにありがとうございました」

・ちょんまげ隊長ツンさん
「コロナで医療従事者への寄付、エールなどがありましたが、僕らはサッカー界で、サッカーの誰かのためにならサポーターも動いてくれるのではないかと考え、始めました。障がいがあることでより感染対策をしないといけないこともあるなど、おそらくサッカーの中でも、障がい者サッカーが一番大変なのではないかと思います。しかし普段の予算でも厳しい中、プラスアルファで(コロナ対策費が)出ていくわけなので、そこを補填したいという思いがありました」

「また、ピンチはチャンスだと思っているので、この大変な状況をきっかけにして、Tシャツをつくり障がい者サッカーが7つあるということを知っていただく機会にもなればと思いました。(障がい者サッカーへの思いとして、)目が見えない人は大変だというイメージがあったのですが、10年前にブラインドサッカー・落合啓士氏と知り合い、一緒に二泊三日で東北支援に行った際、『普通じゃん』と感じ、自分の方にバリアがあったということを学ばせてもらいました」

「自分も10年前に気づいたことですが、それをいろいろな人に気づいてほしいと思い、今はオリジナルで障がい者スポーツ体験会『ミックス』の活動もしています。千葉県柏市では、4年半で2千人ぐらいの子どもたちに体験してもらっています。テレビやアニメで見ているからかブラインドサッカーのリクエストが多いのですが、小学校低学年ぐらいを対象にブラインドサッカー体験会だけをやると『障がい=目が見えない』と思われてしまうのがこわかったので、必ず3カテゴリーぐらいをミックスして選手に来てもらい実施しています。みんなが顔の形や声も違うように、障がいにもいろいろあるのだと伝え歩いています」

「その活動がこのTシャツのおおもとにあります。これが例えば1つのカテゴリーだけのためだったらやっていないですし、やはり7つの障がい者サッカーを知ってもらいたかったというのがあります。7つあるのは、障がい者サッカーが日本で唯一だと思います。ここをテコにして、性格がさまざまであるように障がいもさまざまで、いろいろあって良いと伝えたいです」

「これまで(自身が活動してきた)10年間の東北支援の中で、いろいろな漫画家の先生と協力した経験がありました。5年前の熊本地震の際にも4人の漫画家の先生とTシャツを作り100万円を寄付するなどの経緯もありました。普通には難しいことだと思いますが、これまで継続して活動してきた経緯もわかっていただけているから実現できたと思います。これを団体がやろうとするとお金の問題なども発生すると思いますが、素人がやっていることなので、協力いただけたのではないかと思います」

「(Tシャツの文字の)『Jの力を信じてる』の『J』は『Jリーグ』『JAPAN』『JIFF』からきています。今回、題字は誰にお願いしようかと考えたときに、原博実さんが良いと思いました。個人として関わる分には良いですよというお話だったので、個人で原さんにお願いしました。この被災地支援をしている10年の間に、原さんにはJリーグTVに呼んでいただいたり、被災地の子どもたちを呼んだときにごはんを御馳走してくれたり、これまでも原さんは個人でいろいろ動かれていました」

「また、デザインを担当してくれたデザイン会社たき工房の東福さんがいたので、先生方がリアルに会すことがなくてもイラストが完成しました。GMOペパボの社員でアビスパ福岡のサポーターの方がいたので販売サイトを立ち上げることができ、FC東京やベガルタ仙台のサポーターが梱包や発送を管理してくれました。愛媛、長崎、鹿児島では販売してもいいという実店舗が手を挙げてくれました。コロナで動くことはできないけれど、障がい者スポーツのためになにかしたいという人が力を貸してくれました。購入頂いた方と同じくらいに、関わった皆さん全員に感謝しています」

・原博実Jリーグ副理事長
「ツンさんから障がい者サッカーの皆さんに貢献できないかと漫画家の先生にお願いしてTシャツをつくるという話を聞き、自分もなにかできないかと、賛同して題字を書きました。本当に実現できるのかなという思いもありましたが、ツンさんや皆さんのおかげでこれだけのお金が集まり、障がい者サッカーの皆さんに寄付できるというのは、サッカー界の繋がりだと思います。自分の家族も全員Tシャツを揃えたのですが、すごく気に入ってくれて、そういう輪が広まればいいなと思います。寄付するというサポートもあるし、Tシャツを着てもらうというサポートの仕方もあるんだと思いました。ツンさんや皆さんに感謝ですね。今後も協力したいので、やれることはやっていきたいと思います」







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