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三笘の初著書はドリブラー必読書に…トークイベントでは幼少期からプレミア初挑戦までのドリブル論も

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MF三笘薫

 日本代表MF三笘薫(ブライトン)は25日、自身初の著書『VISION 夢を叶える逆算思考』の出版記念トークイベントに出席。本の内容に触れながら、持ち味でもあるドリブルの極意について語った。

 これまでのキャリアだけでなく、自身を形作った「逆算思考」「ドリブル練習法」「食事メニュー」「メンタル法」など120項目のメソッドも盛り込まれた一冊となった。より具体的な内容となったのには理由があり、それは自身もかつて本田圭佑氏が出演したテレビ番組の内容に大きく影響を受けたからだという。トークイベントでも子どもの質問に真摯に応えてみせた。

「僕が影響されたように、選手の一言やひとつのプレーですごく影響されるのが子どもだと思う。ひとつのプレーや言動、行動は思った以上に自覚していかないといけないと思っていますし、どこでスイッチが入るかわからない中で、その子どものスイッチをどこかで引き出すことができれば、サッカーだけでなくてもその後の人生のやる気だったり、色んなものにつながっていく。そのスイッチをどこかで入れられれば嬉しいと思って今日も話していましたし、本の中にも入っていると思う。いまから何かを変えられるものがあれば嬉しいと思います」

 特に、著書にはドリブルを始めとした具体的なプレーに関する情報が詰め込まれている。トークイベントでは、ドリブルが三笘の代名詞となるまでの秘話も語られた。

 もともとボランチや中盤の選手としてプレーしていた三笘だが、練習を続けるにつれてドリブルの強みを知るようになる。「ドリブルが武器になれば、色んなパスもシュートも生きてくる」。小さいころはスピードを下げた状態で同じタッチでボールを運ぶ練習をとにかく継続した。体の成長とともにスピードを上げていったという。

 著書に書かれたDF山川哲史(神戸)との大学4年間の練習秘話にも少し触れると、その練習の意義を語る。「ドリブルが上手くなるためにはドリブルするしかないんですよね」。映像で見て学ぶことも重要だが、三笘は「とにかく場数、回数をこなさないとうまくならないというのも事実」と強調する。「とにかく質と量を担保させていければうまくなる。小さいころは練習量が大事と思います」と持論を説いた。

 その成果はいまでも礎となっているようだ。「小さいころにやってきた技術がいまも生きているし、得意な抜き方は基本的には変わらない。その中で変わっていくとすれば、相手の間合いやフィジカル能力」と語る。

 2022-23シーズンはプレミアリーグ初挑戦ながら、7ゴール6アシストを記録した。ステージの変化とともに変えたのは、相手の見極め方だという。「日本とはどういう風に違うのかしっかりと考えながら、どういうときに相手が抜けて、どういうときに相手が抜けないのかというのを自分でわかってくるようになれば、いいときのプレーを再現していく作業になってくる」。そしてフィジカルを鍛え、自らの武器をプレミアリーグ仕様にブラッシュアップさせた。

 フィジカルの重要性を語りながらも、そのタイミングには念を押す。「技術は小さいころにしか身につかないことが多い。小さいころにたくさん走ったりするのも大事なんですけど、結局はフィジカルは歳を取っても伸ばせる。技術は大人になってから伸びにくいところがある。僕は小さいころからドリブルの技術やボールタッチをやっていく必要があるかなと思っています」。未来のサッカー選手たちである子どもたちに、あくまで真剣にその思いを伝えた。

(取材・文 石川祐介)
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