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第2次森保Jで全試合先発…“新エース”三笘薫が1G1A「4-3-3でうまくハマった」

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日本代表MF三笘薫(ブライトン)

[6.20 キリンチャレンジ杯 日本 4-1 ペルー パナスタ]

 日本代表MF三笘薫(ブライトン)がキリンチャレンジカップ・ペルー戦(○4-1)で先発フル出場し、豪快なカットインシュートと股抜きラストパスで1ゴール1アシスト。第2次森保ジャパンの新たなエースにふさわしい存在感をあらためて示した。

 まずは1-0で迎えた前半37分だった。左サイドでMF鎌田大地からのパスを受けると、得意のカットインから右足一閃。「カットインからとりあえず枠内という意識で打った。少しボールがずれて難しいところもあったけど運がよかったと思う」。手応えは控えめだったようだが、マークが集中していた中でワンチャンスを決め切る勝負強さが光った。

 さらに後半18分、今度はカウンターからの左サイド突破でゴール前に持ち運ぶと、目の前のDFの股を抜いて逆サイドに走り込むMF伊東純也にラストパス。「最初は浮き球も考えたけどクオリティ的に難しかったので、うまく股開くかなというところで狙い通りだった」。最後は「冷静に決めてくれたので良かった」と伊東に感謝したが、巧みな駆け引きあってこそのゴールだった。

 データサイト『オプタ』によると、三笘はA代表デビュー以来の17試合で7ゴール5アシストを記録。合計12ゴールに直接関与しており、これは同時期の日本代表でも最多の数字にあたる。また17試合中9試合は途中出場とあり、90分間あたりのスコアポイント(ゴール+アシスト)は驚異の1.23。1試合出れば必ずゴールを生み出している計算だ。

 そうした活躍にプレミアリーグでのパフォーマンスも重なり、第2次森保ジャパンでは攻撃陣で唯一の全4試合先発起用。カタールW杯では直前のコンディション不良の影響もあってジョーカー起用が続いたが、新体制になって以降は指揮官からの絶大な信頼を感じさせている。

 3月シリーズは4-2-3-1、6月シリーズは4-1-4-1と異なるシステムが採用されている中でも存在感を発揮。「クラブの結果を評価してくれての代表活動だと思うので、自分自身がやってきたことがそこに出ているのは嬉しいし、4-2-3-1、4-3-3といろんな形をやりながら、チームも何がベストなのかを考えながらやっている中で、4-3-3でうまくハマったと思う」(三笘)。新たなトライが進みつつあるチームの中心に君臨している。

 三笘自身も中心選手としての自覚が深まっている。

 練習中から周囲のポジションの選手と積極的に対話を重ね、時には自身が日々戦うプレミアリーグの基準も伝えながらチームの成熟を促す姿が見られる。「自分もやりやすいようにというのと、チームが機能するようにというところ、特に守備のハメ方と後ろのバランスは考えている。ビルドアップの配置でどう動いているかは考えているところはある。それが(試合に)出るか出ないかは分からないけど、しっかりとコミュニケーションは取れていると思う」と手応えを語る。

 また試合中のピッチ内でも、チームにおける自身の役割を冷静に見つめ、時にはあえて消えるような選択も辞さない。この日は序盤にマークが集中し、ボールがなかなか入らない時間が続いたが、「右サイドでうまく攻めていたのでボールが来なくても慌てずにやっていた。来たときにどうしようか考えていたので焦りはなかった」と三笘。低い位置に降りるのではなく、周囲を活かす方法を考えていたという。

「右サイドでうまく作って、サイドバックが高い位置に上がっている分、僕が残ればカウンターというところが何度もあった。僕が残ることのほうが怖かった。下がっても良かったけど、(高い位置を)キープすることでより脅威になっていた」(三笘)。そうしたゲームプランはいわば“三笘ありき”のもの。明らかにチームづくりの中心に三笘の存在があることを印象付けた。

 それでも三笘はさらに高みを目指している。「親善試合の中では徐々に徐々に結果が出ているので嬉しいけど、まだまだ強い相手もいるし、次はドイツ戦もあるし、そういうところでまた評価されると思う」。照準は9月にボルフスブルクで行われるドイツとの再戦。「まずは怪我なくシーズンを終えられたことが一番だし、しっかりと休んで、もう一つクオリティーを上げて、次の代表に入れれば嬉しい」と冷静に前を見据えていた。

(取材・文 竹内達也)

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