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日本障がい者サッカー連盟会長就任から7年「最初は気を遣いすぎて逆に壁を作っていた」、北澤豪氏が港区との連携協定に意気込み

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日本障がい者サッカー連盟会長の北澤豪氏

 東京・港区と日本障がい者サッカー連盟(JIFF)は6日、「スポーツを通じた地域社会の発展に関する連携協力協定」を締結したことを発表。港区役所で行われた締結式には、北澤豪JIFF会長が出席した。2016年の初代会長就任から障がい理解に努めた7年を振り返る。「最初に会ったときは気を遣いすぎて、知ろうと思いすぎて、なんとなく自分の中で逆に壁を作っていた。ただ、長く時間を共有することによって、まったくそのことを意識していない自分が作られる。時間というものはすごく大事になると思います」と語った。

 港区と障がい者サッカーの関わりは2005年から続く。障がい者サッカーを活用した小・中学校向け教育プログラム、教員向けおよび区内企業向けの研修プログラムなども実施され、今回の協定締結でこれまでの活動を継続および発展させていく。北澤JIFF会長は「子どもたちに向けたプログラムを一緒に体験することによって、他人事ではなく自分事に感じていく時間を共有できる。障がい者サッカーを通じた街づくりということに対して、われわれも少しでも貢献して、日本のロールモデルになるような活動をしていきたい」と今後の目標を語った。

 日本障がい者サッカー連盟にとって、自治体との連携締結は初。今後の連携協力として、障がい者スポーツの振興や障がい者理解の促進、スポーツを楽しめる環境づくりなどが挙げられる。北澤JIFF会長は「どういった成果を出せるか検証していきながら、やっていかなければいけない」と先を見据える。25年には東京で聴覚障がい者の国際的なスポーツ大会「デフリンピック」も開催。「東京オリンピック、パラリンピックからの流れをどうやって引き継いでいくか。(港区が)大事な中心地点になるんじゃないかなと思っています」と港区の活動発展に期待を込めた。

 北澤氏がJIFFの初代会長に就任したのは2016年。ここまでの7年間を振り返り、障がい理解にスポーツが有効になることを説く。

「スポーツの場で一緒に長く時間を共有することで、お互いの理解も深められる。スポーツは人そのものが出やすいところがある。コミュニケーションを取らないと成立しなくなる。スポーツというみんなが楽しめる入口から入っていきながら、社会改革につなげていけることは自分の経験上でも思います」

 記憶に新しい21年東京パラリンピックで、5人制サッカー(ブラインドサッカー)日本代表は初出場で5位入賞を果たした。競技での活躍も、理解を深める大きな要素となりうる。「アスリートが自分たちの強みを発信することで“すごい”という目線に変えることは、アスリートの力によるもの。われわれがどういったフィールドを作っていけるかということが大事になってくる」。共生社会の実現に向け、さらなる支援を誓った。

(取材・文 石川祐介)

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