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[総体]劇的FKで追いついた成立学園、キッカー計20人のPK戦制し、東京8強進出!

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[6.8 全国高校総体東京都予選決勝T1回戦 成立学園1-1(PK9-8)大成 駒沢補助]

 平成25年度全国高校総体「2013 未来をつなぐ 北部九州総体」サッカー競技東京都予選は8日、12校による二次(決勝)トーナメントへ突入。04年以来の全国総体出場を目指す成立学園と大成との一戦は、成立学園が1-1で突入したPK戦を9-8で制し、関東一と戦う準々決勝へ進出した。

 0-1の後半39分に交代出場のMF上田悠起(2年)の直接FKで追いつき、PK戦では10人目までもつれ込む展開。非常に苦しい試合だった。それでも成立学園はわずかな成長を示して8強進出を決めた。

 この日の試合前、元日本代表MFの宮内聡総監督は「やってきたことが出る。何が成長したのか、見たいね。そこが感じられれば、前進じゃないか」と選手たちに話しかけたという。成立学園はこの日と同じ駒沢オリンピック公園補助競技場で開催された関東大会予選準々決勝(4月)で実践学園にPK戦で競り負けていた。この日は苦しい戦いとなったが、最終盤に追いつき、PK戦を制して次のラウンドへ進むという“進化”を示す戦いぶり。宮内総監督も「こういう試合を何試合か経験していくこと、乗り越えていくことが成長につながる」と目を細めていた。

 試合は前半、成立学園が圧倒的にボールを支配した。各選手のトラップからパス出しまでのテンポが非常に速く、大成はなかなか距離を詰めることができない。SBの攻撃参加を交えて分厚い攻めを見せる成立学園は、前半5分に右サイドから仕掛けたSB吉田将也(2年)の折り返しをMF山本涼太(3年)が左足で叩くと、DFに当たったボールはクロスバーをヒット。12分には左サイドからカットインしたFW中村諒介(3年)がDFを振り切り、GKと1対1となる。ここは大成GK坂本賢太に阻まれて得点できなかったが、キャプテンマークを巻いたMF金子拓矢やMF鈴木和真、FW根本凪人(すべて3年)らが連動した動きでスペースとフリーの選手をつくり出し、正確なパスも合わせて主導権を握り続けていた。

 ただ大成は15分頃にダブルボランチからMF清水玄(3年)をアンカーに置くシステムへスイッチ。この後もボールを支配していた成立学園だったが、相手の守りを切り崩すことができない。固められた中央から強引にパスや個人技でこじ開けようとしたものの、大成はともに対人で抜群の強さを発揮した長身DF楠本卓海佐藤友哉(ともに3年)の両CBが隙を見せない。逆に大成は29分にハーフウェーラインを少し越えた位置からのFKでゴール前に飛び込んだMF柴田潤(2年)が決定的なヘディングシュート。さらに33分にはGKへのバックパスを狙ったMF小野寺陽平(3年)がスライディングで飛び込み、あわやの場面をつくった。そして前半終盤から後半へかけて、高い位置でのインターセプトから前線で存在感ある動きを見せていた長身FW西尾龍也やFW郡侑也(ともに3年)らがショートカウンターを繰り出すなど流れを自らへ引き寄せていた。

 0-0のまま迎えた後半25分、我慢強い戦いを続けていた大成が先制に成功する。自陣中央から楠本が弾道の低いFKを蹴ると、これを成立学園DFがクリアミス。抜けだした西尾が冷静に左足シュートを決めてチーム、大声で声援を続けていたサブ組たちに歓喜をもたらした。成立学園は交代出場となったエース格のFW浅野裕永(3年)やMF町田ブライト(2年)がPA付近で怖さを発揮するなど反撃するものの、好守を続ける大成から同点ゴールを奪うことができない。

 それでも後半39分、交代出場の上田が右中間で獲得したFKを自ら「味方が触っても入るし、触らなくても入るコースへ蹴った」と左足で蹴ると、弾道の低い一撃は両チームの選手の間を抜けてゴール左隅へ吸い込まれた。劇的な一撃に盛り上がる成立学園は1-1で突入した延長戦でも大成にプレッシャーをかける。敵陣へ押し込み、浅野、町田が決定的なシュートを放ったが、大成が耐え切って勝ち越すことはできず。そして持ち込まれたPK戦では4-3リードで迎えた成立学園の5人目のシュートが左ポストを叩いて失敗。そのまま両者譲らずに10人目まで続く死闘となった。最後は後攻・大成の10人目のシュートが枠の上へ外れて勝負あり。成立学園が苦しみながらも8強へ駒を進めた。

 成立学園の金子は「嬉しいです。でも前半あれだけ攻めていたのに点を獲れないのは課題。(成立学園には)技術面でいい個が多くて、走り切れる選手もいる。よりチームとしてつながるようにしていきたい。次からはプリンスリーグのチームも出てくるけれど、自分たちらしさを出して勝っていきたい」。この日、苦しい試合を制して関東大会予選から成長した姿を示した成立学園。この日の反省からまた一歩前進して準々決勝へ臨む。

(取材・文 吉田太郎)
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