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[総体]最多7回優勝の市立船橋、粘る地元・九州国際大付をねじ伏せ8強入り

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平成25年度全国高校総体
「2013 未来をつなぐ 北部九州総体」サッカー競技(福岡)

[8.3 全国高校総体3回戦 市立船橋 4-2 九州国際大付 東平尾公園博多の森陸上競技場] 

 平成25年度全国高校総体「2013 未来をつなぐ 北部九州総体」サッカー競技は3日、3回戦を行い、最多7回の優勝を誇る市立船橋(千葉1)が地元・福岡の初出場校、九州国際大付(福岡2)に4-2で勝利。帝京大可児(岐阜)と対戦する準々決勝(5日)へ進出した。

 初戦は1点差でこの日も2点差だが、頂点を見据えて戦う市立船橋はまだ余力を残している印象だ。2試合で登録17人中15人が先発。全員で戦って最初の2連戦を乗り切り、絶対目標の日本一まであと3勝とした。この日は4-2-3-1システムで試合をスタートしたが、リトリートからのカウンター、ロングボールを徹底してくる相手の前に1-1で前半を折り返すと、後半開始からMF室伏航とMF打越大樹を投入して3-4-3へスイッチ。後半は左右につくり出したスペースから相手を揺さぶった市立船橋が室伏の2発、FW小田大樹のダメ押し点と交代出場組の3ゴールによって粘る九国大付をねじ伏せた。

 前半2分に獲得したPKを注目のエースFW石田雅俊(3年)が右足で決めて先制。だが九国大付は20分にCB星加浩平(3年)が頭で跳ね返したボールを上手く拾ったエースMF山下敬大主将(3年)が右サイドから鮮やかな右足シュートを叩きこんで同点に追いつく。さらに九国大付は25分にも中央のこぼれ球を右SB森上将志(3年)が右足シュート。市立船橋はU-18日本代表候補GK志村滉(2年)が反応良くはじき出して事なきを得たが、31分にもFW吉開尚也(3年)にDFが裏を取られてピンチを招いてしまう。

 ただ、朝岡隆蔵監督が「誰が、どこで出ようが、相手を見ながら柔軟に対応できる」と説明する対応力の高さ。市立船橋は布陣変更とともに攻撃に力をかけてペースアップした後半の4分、石田からのパスを受けた室伏が左中間から豪快な右足ミドルを叩きこむと、10分には右サイドの打越からのパスが逆サイドへ流れたところを再び室伏が左足でゴールヘ押し込んで3-1と突き放した。
 
 フィジカルコンタクトでも相手を上回る市立船橋はボールを支配してゲームをコントロール。正確かつスピーディーな崩しで会場をうならせるようなシーンもあった。ただ九州新人戦、総体九州大会でいずれも準優勝している実力派の初出場校、九国大付はチャンスをつくり出してくる。「残り20分間で勝負」(杉山公一監督)と前線にパワーをかけた九国大付は23分に左サイドから一気に抜け出したMF末廣直紀(3年)がPAから決定的な右足シュート。28分には左クロスから前線へ移っていた星加が決定的なヘディングシュートを放つ。

 だがここで点差を縮めることができなかった相手に対して市立船橋は33分、オフサイドトラップをかいくぐった石田が右サイドを抜けだすと、GKを引きつけて中央へ折り返す。これを小田が頭で押し込んでダメ押した。大応援に後押しされた九国大付は最後まであきらめず、アディショナルタイムに左サイドを突いたMF宮本敏広(3年)の右足シュートのこぼれ球を山下がゴールヘねじ込んたが、反撃はここまでだった。

 日本高校選抜DF磐瀬剛主将(3年)と石田は1年時に全国高校選手権優勝を経験。だが夏の全国大会はメンバー全員が初めての経験だ。その中で個々が試合経験を積みながら、県大会から試合を重ねるごとにチーム力を向上させてきている。県大会決勝では石田ら主力数人を先発から外しながらもライバル流通経済大柏を3-2で下し、今大会初戦では全国大会2試合で先発に抜擢されている1年生MF下村司が決勝ゴール。そしてこの日は朝岡監督が「危機感を持ってやってくれれば」と期待する室伏が交代出場から2発と日替わりで結果を残す選手が出てきた。相手を圧倒している訳ではないが、確実に相手を上回り勝利で終える“横綱相撲”で進撃する市船。磐瀬は「メンバーが固定されるとベンチの人のモチベーションが上がらないと思うんですよ。全員でチームとして戦えるというのがある。また途中出場の人が試合決めてくれると助かります。今年は監督も言っているんですけど、優勝を狙えると思う。優勝を目指して頑張りたい。まずは次の試合」。夏は過去6大会で3度全国制覇している名門。確実に目の前の敵を倒して頂点への階段を登り切る。

(取材・文 吉田太郎)
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