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[総体]後半ラストプレーで劇的V弾!広島皆実が5年ぶりに夏の広島制す!!

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[6.8 全国高校総体広島県予選決勝 広島皆実高 2-1 広島観音高 広島広域公園第一球技場]

 平成26年度全国高校総体「煌(きら)めく青春 南関東総体2014」サッカー競技(山梨)広島県予選は8日、決勝を行い、広島皆実高が後半の2得点によって2-1で広島観音高に逆転勝ち。5年ぶり12回目の全国総体出場を決めた。
 
 今年2月の新人戦決勝と同じ顔合わせ。広島皆実は準々決勝で、5年連続出場を狙った瀬戸内高を延長の末に破り、準決勝では福山明王台高を退けて勝ち進んだ。一方の広島観音は、準々決勝で県立広島工高、準決勝では高陽高を撃破しての決勝進出。広島観音は昨年11月、選手権予選準々決勝でも広島皆実に敗れており、そのとき出場していた選手も多く残っていることから、雪辱を期して臨む一戦となった。
 
 試合は序盤、その思いの強さをプレーで示した広島観音が優勢に進める。FW八尾侑亮(3年)、浅田敬太郎(3年)、MF森重麗(3年)などが力強いドリブルで広島皆実の守備網を破り、際どいシーンを作った。広島皆実は、藤井潔監督が「しぶといドリブルをしてこられて、後ろ(ディフェンスライン)がフワフワしていた」と振り返った通り、なかなか試合を落ち着かせることができない。
 
 それでも広島皆実は、狙いとする細かいパスワークやサイドチェンジで徐々に攻撃のリズムをつかみ、広島観音ゴールに迫る。19分(35分ハーフ)には左サイドを破ってFW久保田航平(3年)が際どいシュートを放ち、26分にはFW俵修造(3年)が強烈な左足シュートでゴールを脅かしたが、広島観音GK中髪啓介(3年)の好セーブもあり、スコアを動かすには至らない。
 
 そうするうちに迎えた前半アディショナルタイム、0-0でハーフタイムを迎えるかと思われたところで、広島観音が先制点を奪った。相手のミスを突いて浅田が左サイドを破ると、中央に走り込んでいた八尾が押し込んでゴール。広島皆実の試合再開のキックオフが行われずに前半終了の笛が鳴る、正真正銘のラストプレーで均衡を破った。

 少しずつ流れをつかんでいたところで、失点してハーフタイムを迎え、広島皆実にとっては嫌な流れになりかけていた。しかし、藤井監督は「前半も(相手のゴールを)こじ開けかけていたし、チャンスがまったくできない、という状態ではなかった。ハーフタイムには選手たちが『落ち着いて続けていこう』『一つ決めれば流れは変わる』と口々に言っていた」と振り返る。迎えた後半、広島観音も追加点を狙って意欲的に攻め込んできたが、それを的確な守備でしのぐと、ボール支配率を高めてチャンスをうかがった。

 それでも同点ゴールが遠かったが、後半19分、広島皆実が追い付く。広島観音のディフェンスラインの一瞬のスキを突いて、MF丸川太誠(3年)が左サイドを破ってセンタリングを送ると、中央で久保田が押し込んでネットを揺らした。試合終了まで、あと15分。そろそろ焦りが出始める頃で、「あと少し時間がたっていたら、やっかいなことになっていた」(藤井監督)というタイミングでの、待望のゴールだった。

 その後は、押され気味だった広島観音も勢いを取り戻したものの、お互いに勝ち越し点は奪えず。蒸し暑い中での戦いで、両チームともプレーの精度が少しずつ落ちてきたこともあり、1-1のまま延長に突入するかと思われた。

 しかし後半アディショナルタイム、劇的な結末が待っていた。広島皆実は右サイドでFKを獲得。MF横路翔太(3年)が中央に送ると、走り込んできたDF北尾涼(3年)が、完璧なタイミングでのヘッドでたたき込んだ。

 そして、前半同様に試合再開のキックオフは行われず、得点直後に試合終了の笛が鳴った。前半や後半のアディショナルタイムに得点が決まるのは、さして珍しいことではないが、試合再開のキックオフが行われずに終了のホイッスルが鳴る、まさに『終了直前』の得点は、めったに見られない。それがこの日、しかも二度にわたって生まれ、両チームの明暗がくっきり分かれた。
 
 広島観音は雪辱ならず、またも広島皆実の壁を破れなかった。昨年度までコーチを務め、今年度から指揮を執る内田仁監督は、今後に向けて「守備をしっかり、ボールの奪い方をはっきりして、攻撃はシンプルにやる、というスタイルは変わらない」としつつも、「個々の精度を上げていく必要がある。選手権予選まで、選手たちも頑張ってくれると思う」と語った。互角の戦いを繰り広げながらも、あと一歩及ばなかった悔しさを、選手権予選にぶつけることになる。
 
 広島皆実は11年度、12年度は2年続けて全国総体、選手権とも出場権を逃し、苦しい時期を過ごしたが、昨年度は3年ぶりに選手権に出場し、今回の全国総体で2大会連続の全国出場。藤井監督は「昨年度の選手権を経験している選手が多いので、連続して全国に出ることで、その経験を生かし、夏の段階で、全国で勝つことを目標にすることができるのは大きい。今回の予選は、サッカーの質や内容も欲しかったですけど、それ以上に、何がなんでも結果をつかむ、ということが大事で、それをやってくれた」と選手たちの頑張りを評価した。
 
 選手権は2回戦でPK戦負けを喫しており、今回はそれ以上の勝ち上がりを目指す。全国総体は99年に優勝しているが、そのときは八千代高(千葉)との両校優勝。勝ち上がった先に単独優勝を見据え、広島の雄が真夏の戦いに挑む。
 
(取材・文 石倉利英)

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