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[MOM1402]明秀日立MF吉田知樹(3年)_一時Bチーム降格も・・・指揮官認めるエースに

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.17 全国高校総体茨城県予選準決勝 第一学院高 2-3(延長)明秀日立高 カシマ]

 2度目の全国総体出場へ王手をかけた明秀日立高の10番には、エースの自覚と存在感があった。MF吉田知樹(3年)は前半からそのキープ力とドリブル突破で存在感。1対1からDFを外して決定的なクロスを入れ、混戦でも強引に仕掛けて打開してしまう。多少持ちすぎる部分があっても、チームがそのプレーを後押し。決定的な仕事をしていたのに加え、やや低い位置からでもドリブルで運んでくれる10番はチームの苦しいところで拠り所にもなっていた。

 本人は「点取りたかったですね。ドリブルからゴールまで打てなかったので、次はそういうところもしっかりやっていきたい」と首を振ったが、10番を試合を通して「何とかしてくれる」という雰囲気を醸し出していた。正確なクロスボールでも決定機を演出し、気の利いた守りで相手のカウンターの起点を潰すシーンも。得点こそなかったものの、エースらしい働きで100分間の戦いを終えた。

 春先から意欲的にフィジカル面の向上に努め、それが結果に繋がっている。萬場努監督は「エースだけど自覚がなかったので、試合に出れない時期を意図的にじゃないですけどつくった」と一時Bチーム行きを指示。だが、そこで吉田は気持ちを沈ませることなく、トレーニングに励んでAチームに戻ってきた。現在、試合で一段階違うプレーを見せる吉田について、主将のCB石川慶人(3年)は「成長して戻ってきました。『もっと筋肉つけろ』と言われてゴツくなって、当たっても負けなくなった。ボールをもったら得点の匂いがするので信頼しています」と頷き、指揮官も「エースになってきた」と認めている。

 吉田は中学時代まで主にボランチで「ドリブルそんなにしなかったです。あんま得意じゃなかったです」というが、明秀日立でサイドハーフとして起用されるようになり、そのドリブルセンスが開花。決してスピードのある選手ではないが、上体のフェイントでDFの逆を突き、縦に突破していくドリブルはチームの大きな武器となっている。「チャンスもつくれて点も取れる選手になりたい」というMFは決勝へ向けて「点取れるようにして、チームが勝つこと優先でやっていきたいです」。今大会は3得点をたたき出しているが、準々決勝、準決勝は無得点に終わっているだけにゴールに飢えている。そのMFが大一番でエースの仕事をする。
 
(取材・文 吉田太郎)
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