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[総体]プレミア開幕5連敗からの逆襲!流経大柏が市立船橋との千葉頂上決戦制す!

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[6.21 総体千葉県予選決勝 市立船橋高 0-1(延長)流通経済大柏高 柏の葉]

 平成28年度全国高校総体「2016 情熱疾走 中国総体」サッカー競技(広島)千葉県予選決勝が21日に行われ、市立船橋高流通経済大柏高が対戦。延長後半アディショナルタイムにFW中村翼(3年)が決めた決勝点によって流経大柏が1-0で勝った。すでに両校は準決勝を突破した時点で全国大会出場権を獲得。流経大柏が千葉県第1代表として、市立船橋は千葉県第2代表として全国総体に臨む。

 0-0で延長戦に突入した試合は互いに譲らず、前後半各10分間の戦いも終えようとしていた。だが、後半11分にスコアが動く。流経大柏は相手のロングボールをCB関川郁万(1年)が跳ね返したこぼれ球からチャンス。一瞬譲りあった市立船橋DF陣を一気に振り切った中村が独走すると、距離を詰めてきたGKを右側からかわす。そして角度のない位置から右足シュートをねじ込んだ。劇的な“優勝決定弾”。流経大柏はベンチから選手、スタッフが飛び出して背番号9を祝福する。本田裕一郎監督は「よくやったね。はじめから絶対勝てるからと言っていた。マグレだけど、勝てたことは選手への最高のプレゼントになった」と笑顔だった。

 高校年代最高峰のリーグ戦であるプレミアリーグに所属し、高校サッカー界で最高クラスの知名度、実力を持つ両校による千葉頂上決戦。だが、今年の両校の成績は違い過ぎた。プレミアリーグEAST開幕5試合で市立船橋は3勝2分の無敗で2位。一方の流経大柏は初の開幕5連敗を喫していた。今回の総体予選も流経大柏は初戦から2試合連続1-0勝利で、準決勝も後半の2得点で辛勝していたのに対し、市立船橋は準決勝を7-0で突破するなど圧倒的な強さを見せつけていた。千葉県内最大のライバルである市立船橋に流経大柏がつけられていた差。周囲からの評価も流経大柏の選手たちは薄々感じていた。MF関大和主将(3年)は「市船は昨年から出ているメンバーが多くて自分たちは少ない。差はあるかなと思っていた」と認める。それでも中村が「流経弱いんじゃないかと、舐められていたと思う。悔しいけれど、弱いなんて言われたくない」と語り、関も「市船には負けられない。市船やヒガシ(東福岡)、ここに勝てない限り、日本一にはなれない」と口にしたように、ライバルに絶対に負けられないという思い、意地が流経大柏に白星をもたらした。

 ファイナルに“奇策”を用いた。流経大柏は中盤をボックス型にした4-4-2システムを採用。4-3-3の相手3ボランチのパスコースを消し、また前線の選手にマンマークをつけることで起点をつくらさなかった。そしてロングボールのセカンドボールを厚い中盤が拾って攻めようとする流経大柏は、開始1分にPAでこぼれ球を拾ったMF菊地泰智(2年)が決定的な左足シュート。それでも市立船橋はJ注目CB杉岡大暉主将(3年)やMF原輝綺(3年)の縦パスをスイッチに攻撃をスピードアップし、1タッチのパスワークで相手を振り回すシーンもあった。また、杉岡の左足ロングキックによるサイドチェンジなどを活用しながら攻める。

 21分には左サイドを抜け出したFW矢野龍斗(3年)の折り返しにFW太田貴也(2年)が飛び込むシーンもあったが、前半は全体的にボールサイドでガチャガチャとする混戦が増えてしまい、公式記録上のシュート数ゼロ。全体的に相手に合わせてしまっていた。杉岡と先発に抜擢されたCB今村直也(2年)中心に相手にチャンスをつくらせず、アタックを続けるなど主導権を握っていたのは市立船橋だったものの、同時に球際での身体を張ったプレーでスタンドを沸かせた関や圧倒的な高さで制空権を握った関川ら局面での戦いで奮闘する流経大柏に「やれる」という手応えを与えてしまっていた。
 
 市立船橋の朝岡隆蔵監督は「まだまだ力がない。ふわふわしていた」。後半開始からベンチスタートの10番MF高宇洋(3年)と準決勝3得点のFW村上弘有(3年)を同時投入した市立船橋はカウンターから高が局面を破ってスルーパスを出したり、右SB真瀬拓海(3年)がスピードでDFを振り切るなどチャンスの数を増やす。そしてサイドからの折り返しも通したが、流経大柏はサイドでDFがが剥がされてもCB松浦駿平が的確なカバーリングを見せ、関川が後半も圧巻の高さを見せ続けるなど自由にシュートを打たせなかった。

 市立船橋は39分には高の突破を起点にボールを動かし、最後は左SB桧山悠也(3年)がフィニッシュ。だが流経大柏DFのブロックにあい、延長でも村上の突破からラストパスに高が飛び込もうとするシーンがあったが、松浦にクリアされるなど気迫の守りを見せる相手のゴールを最後まで破ることができなかった。そしてPK戦突入直前のゴールによって千葉頂上決戦の軍配は流経大柏に上がった。

 流経大柏は苦しい戦いが続いたが無失点V。関は「インハイは絶対にゼロで抑えるとやっていた」。結果が出なかったシーズン序盤から、意識を変え、徹底して負けないサッカーを貫いた流経大柏。そして今季ケタ違いの強さを見せていた市立船橋から白星を掴んだ。本田監督も「1位で行くのと2位で行くのは違う。大きかった」と語るなどこの1勝の価値は大きい。最大のライバルからの1勝。復活への大きな一歩を踏み出した流経大柏がプレミアリーグでの巻き返し、そして「日本一が目標です」(関)という全国総体に繋げる。

(取材・文 吉田太郎)
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