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シュート数23本で圧倒も…前橋育英の主将、MF田部井涼「このままでは全国では絶対に通用しない」

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前橋育英高の主将、MF田部井涼はチームの現状について「まだまだ」と繰り返していた

[6.18全国高校総体群馬県予選決勝 前橋育英高 2-0 前橋高 正田スタ]

 シュート23対2で快勝した試合後、前橋育英高のMF田部井涼主将(3年)は「第一に優勝できて本当に嬉しいですし、ホッとしています」と第一声。前橋育英らしい中央、サイドの攻撃からチャンスを量産したことについては満足していたが、「最後のところの詰めの甘さは本当に課題で、ポストに当たるとか運の悪かったところもありましたけれども、突き詰めて決めきれるようにしたいと思います」と反省していた。

 田部井涼を中心としたパスワークやともに日本高校選抜のFW飯島陸とSB渡邊泰基(ともに3年)による左サイドからの崩しなど多彩な攻撃で前橋高を押し込み、決定的なシーンを幾度も作り出した。だが、全国優勝を目指しているからこそ、このままではいけないという思いがある。

「崩せてはいましたけれど、このままでは全国では絶対に通用しない。相手が強くなればチャンスは限られてきて試合の中で2、3本しかないと思う。そこで決めきれるか、決めきれないかで勝負は決まっちゃうと思うので、もっと決定力は上げていかないとダメですね」と主将はダメ出し。その厳しい指摘はコントロールタワーとして攻撃のタクトを振るい、セットプレーのキッカーとしてチャンスメークしていた自身にも向けられていた。

「セットプレーでアシストしたり、FK決めたり、ミドルシュート決めたりとかボランチとしての得点を求められていると思うんで、そこをもっともっと突き詰めて行くこと。決定力がないというのは自分も同じなので、もっともっと練習して高めていきたいです」

 田部井涼は守備面でも特長という声で前線や周囲の選手を動かし、ボールを奪い取る部分でも貢献していた。だが、空中戦や守備の読みの質などを高めないといけないと感じている。県内で違いを出せても全国では同じように行かない。また、田部井涼自身も「自分はこんなもんじゃないと思っている」。だからこそ、よりレベルアップすることを誓っていた。

 田部井涼は双子の兄弟であるMF田部井悠(3年)らとともに選手権準優勝を経験した。CB角田涼太朗(3年)は「5-0で負けて監督もいつも言っているんですけど、『絶対に忘れちゃいけない』」と語っていたが、主将は青森山田高との決勝で決定機を活かせず、逆に被シュート8本で0-5で敗れ、準優勝に終わったあの経験を忘れずにやっているからこそできている部分があると感じている。

「一言で言うと、県内の大会は苦しかったですね。決勝は崩せていましたけれども、それまでは崩せる場面が本当に少なかった。それでも焦れずにやれたのは、あの時の悔しさをみんな忘れないで、ここでやられたら、またやられるぞという共通意識がみんなの中にあるのでそこをやれたのは本当に良かったです。でも、ゲーム全体を見たらまだダメなので、自分たちのサッカーを、外もできるし、中もできるしというサッカーをもっとやっていきたいですね」。

 選手権の経験がプラスに作用している。その中で今年は昨年よりも決定力が増してきているという声もある。だが、まだまだ。少しでも進化を遂げて、全国の強豪相手でも攻守でしっかりと上回るチームになって目標を達成する。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2017

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