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後半ATにカウンター炸裂!「三桜一体」の金沢桜丘が劇的V弾で石川決勝進出!

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後半アディショナルタイム、金沢桜丘高の2年生MF奥村祐平が決勝ゴール

[6.3 総体石川県予選準決勝 金沢桜丘高 2-1 遊学館高 金沢市民サッカー場]

 金沢桜丘が劇的決勝弾ゴールで全国王手! 平成30年度全国高校総体「2018彩る感動 東海総体」サッカー競技(インターハイ、三重)石川県予選準決勝が3日に行われ、後半アディショナルタイムにMF奥村祐平(2年)が決めた決勝点によって金沢桜丘高が2-1で遊学館高に勝った。4日の決勝に進出した金沢桜丘は、7年ぶりの全国出場を懸けて星稜高と戦う。

 “劇的過ぎる”、と言えるような幕切れだった。1-1のまま突入した後半アディショナルタイムは、すでに掲示された2分を経過。攻勢に試合を進めていた遊学館が70分間で勝負を決めるため、攻撃に人数を掛けてロングスローを投じる。これを金沢桜丘DFが跳ね返し、右サイドのエースMF西本健悟(3年)の足下にボールが入ると、形勢が逆転。自陣からドリブルで一気に駆け上がった背番号10に呼応するように、我慢して戦っていた白のユニフォームが敵陣になだれ込む。

 そして、西本がDFを引きつけて冷静にラストパスを送ると、最前線まで駆け上がった奥村祐がコントロールからボールだけを見て右足を振り抜く。前半19分の交代出場から波に乗れないままこの時間を迎えていた2年生FWの渾身の一撃。これがGKの脇を抜けてゴールネットを揺らした。勝利を確信し、大興奮の金沢桜丘イレブン。笑顔で駆け寄ってくる先輩たちを振り切るようにベンチ前まで走りきった奥村祐は、そのままチームメートの輪の中に飛び込んだ。

 そして、再開後間もなく試合終了の笛。22年間指導した小松市立高から今年、金沢桜丘に赴任した山本伸忠監督は「見ている人の心に響く試合ができたと思います」と目を細め、後半途中に負傷交代していたMF奥村時朗主将(3年)は「チームを最後まで信じて良かったです。全員で守って、全員で攻撃するサッカーが結果になったと思います」と胸を張った。

 私学の強敵・遊学館との決勝戦。金沢桜丘は前半10分、西本が右CKから右足アウトにかけたストレート系のボールを蹴り込み、直接ゴールを破る。先制点を許した遊学館だったが、すぐに主導権を握ると右SB白田巧実(3年)のロングスローから長身CB高巣瑠海(2年)らが連続シュートを放つなど同点ゴールを目指す。

 そして21分、白田の左ロングスローのこぼれ球をMF八木銀河(2年)が豪快な右足シュートで決めて同点に追いついた。さらに俊足FW内藤誠吾(2年)らがDFラインの背後を狙って攻める遊学館に対し、金沢桜丘は山本監督が「あの2人が弾くところが良かった」と称賛する太田直弥(3年)と坂下鯉久(3年)の両CBやGK中野光志(2年)を中心に、押し込まれても確実に相手の攻撃を跳ね返していく。

 そして良い形でボールを奪った際には、前体制時代からトレーニングで磨いてきたという繋ぐ部分を表現。西本や攻守のキーマン・MF山崎稔琉(3年)、主将の奥村時のトライアングルや前線での奮闘光ったFW小倉彪(3年)がワンツーや1タッチのパス交換で局面を打開。決して回数は多くなかったが、鮮やかな崩しからゴール前のシーンを作り出していた。

 遊学館もMF三浦慎太朗(2年)の高精度の右足キックからサイドを突き、FW熊澤貫太(3年)が右足シュートに持ち込む。そして後半も白田がロングスローを連発。試合終盤にかけて押し込む時間を増やしていた。だが、守備に集中しながら1チャンスを狙い続けていた金沢桜丘が、最後の最後で得たチャンスでカウンターを完結。初戦で2年前の選手権出場校・鵬学園高をPK戦の末に破っている公立の進学校は、昨年度選手権予選準優勝の遊学館も破って決勝進出を決めた。

 ピッチサイドには「三桜一体」の横断幕。選手、コーチングスタッフ、そして保護者・OBが一体となって戦う金沢桜丘のモットーが表現されたような試合だった。試合中、そして大会期間中に課題を修正しながら成長してきたチームは、7年ぶり12回目の全国まであと1勝。王者・星稜との決勝へ向けて奥村時は「星稜は小さい頃から強いところですし、挑戦者としてしっかりと準備をして戦いたいと思います。あと一個、しっかり勝って優勝したいです」と誓った。決勝は全校応援。ピッチ、ベンチ、そしてスタンドが一体となって戦い、歴史を変える。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2018

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