beacon

熊本学園大付は1点に無くも“8強の壁”破り、「今後にも繋がっていく」熊本準優勝

このエントリーをはてなブックマークに追加

決勝で惜しくも敗れたが、熊本学園大付高は堂々の熊本準優勝

[6.5 インターハイ熊本県予選決勝 大津高 1-0 熊本学園大付高 熊本県民総合運動公園陸上競技場]

「ここ2、3年、ベスト8で止まっていた。その上に行こうと目指してきました。一つ乗り越えて、決勝まで来ることができた。結果を残してくれました」。全国へ到達することはできなかったが、6年ぶりに決勝進出し、九州大会への出場権も獲得。熊本学園大付高の厚晴仁監督は選手たちの健闘を讃えていた。

 全国大会出場歴のない熊本学園大付だが、今年の3年生は2年前の九州U-16リーグ(球蹴男児U-16リーグ)で長崎総合科学大附高や鹿児島実高などを上回って18チーム中9位に入り、次年度の1部入りを勝ち取った世代。FW廣瀬蒼馬(3年)が17試合で19得点を叩き出して得点王に輝くなど、MF森山湧馬(3年)を中心に堂々の戦いを演じていた期待の世代はその2年後、全国にあと一歩まで近づいた

 準決勝でルーテル学院高を延長戦の末に下して決勝進出。迎えた決勝戦はチーム全体が守備意識高く戦う。出足の速い守備が特長の左SB中井研太主将(3年)が相手のサイド攻撃に蓋をしたほか、CB規工川悠馬(3年)やCB橋本大尊(3年)がゴール前で踏ん張り、中盤の選手も良くプレスバックをして大津が打開するスペースを消していた。

 そして、前半は相手の背後やサイドのスペースを狙った攻撃。展開力の高い森山の左足キックで局面を変えるシーンもあった。前半29分にセットプレーから痛い失点を喫したが、その直後のピンチをGK坂崎俊哉(3年)のファインセーブで逃れて1点差で後半へ。その後半開始直後は「自信を持って行け」という指示通りに、相手を見て、判断しながらボールを繋ぎ、大津の守りを振り回して連続でラストパスまで持ち込んだ。

 この序盤はラストパスの精度こそ欠いたものの、本来の熊本学園大付の形であるビルドアップを見せていた。これを続けられれば十分に王者を苦しめられたはずだが、大津はすぐに対応。熊本学園大付は中盤で簡単に前を向かせてもらえない。右サイドの森山が中に入ってボールに絡もうとしていたが、全体的に流れの良い攻撃を増やすことができなかった。

 最後まで1点差で食らいつき、チャンスを狙い続けたが0-1で惜敗。全国には手が届かなかった。それでも、中井は「自分たちは球蹴男児の時から、自分たちの代で取らないといけないと(コーチの)青山先生から言われていて、それを意識してこれまでやってきた。ベスト8の壁を今回破れたのは大きい。去年の選手権とかもルーテルに負けていて、死ぬ気で勝ちに行こうと思っていて、そこでしっかり粘って勝てたというのは今後にも繋がっていくと思う」と胸を張った。

 厚監督によると、熊本学園大付は進学校のため、例年はインターハイ後に勉強へ切り替える選手もいるとのこと。彼らが選手権まで本格的にサッカーを続けるかどうかの意思確認はこれからなのだという。ただし、この決勝での0-1の敗戦を早速エネルギーに変えていた選手たち。中井は「選手権は決勝まで上がって、また決勝で大津と戦って、大津を倒して全国に行って、全国でも勝ち上がっていきたいと思っています」と宣言した。この夏、強敵を上回る術を身に着けて、選手権で熊本の頂点を勝ち取る。
 
(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2019

TOP