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[MOM2927]西京DF原田廉(3年)_難しいピッチ状態でも切り替えた頭脳が生んだ勝ち越しゴール!!

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(写真協力=高校サッカー年鑑)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.26 総体1回戦 香川西1-3西京 黄金森公園陸]

 ボールが転がらない。当然パスは繋がらない。逆に普通ならラインを割るボールが止まる。とにかく浮き球を前へ前へ蹴って、そのたびに密集となり、また蹴り合う――。見ていても気の毒に思うほどいつものサッカーができない。しかし、この条件でも勝つためになにができるかを考えなければならない。

 西京高(山口)のDF原田廉(3年)はCBとして相手の攻撃を止めつつ、ロングレンジのキッカーとして、この試合の進め方を考えていた。

「チームには相手に主導権を握らせない守備をするというのがあって。最終ライン4枚が弾き切るところは弾く、繋ぐところは繋ぐ、というのを意識して県予選からやってきました。でも県予選では晴れていたので。今日みたいにこれだけ雨が降ったり晴れたり、という試合はしたことがありません(笑)。そこで、まず守備ではまずはボールを落とさないように意識しました」

 前半、雨がひどくなるとともに田邊宏司監督から指示が出た。「繋ぐサッカーを目指していましたが、それができない状況になった時に“相手の背後”を第一優先にして。それで実際に点を取れたのでやってよかったと思います」。

 四国学院大香川西高(香川)に同点に追いつかれた後の前半30分、左サイド距離があるところからFKの機会を得た。西京でロングレンジのキックを担当しているのは原田だった。

「自分はキックが持ち味なので。試合中、相手GKがルーズボールに弱いなと感じていたので、GKとDFラインの間に蹴って、誰かがそらせてくれれば入るかと」

 GKとDFラインの間に蹴り込まれた絶妙なロングキックは、誰にも触れられることなく、逆にそれがGKへのフェイントになってゴールへ吸い込まれた。ラッキーだったとはいえ、この試合を左右する重要なゴールだった。ちょうど最も雨が激しくなっていた時間帯。余裕は失われ、焦りが募る条件下で、それでも冷静に頭を働かせていたからこそのゴールだともいえる。

「このようなゲームを取れたことは次につながると思います。自分たちの代は『県予選初戦で敗退だ』と言われていたチーム。それが全国で1勝できたというのは、選手権に向けても大きな糧になります」

 どんなゲームであろうと1勝は1勝だ。全国で勝ち取ったこの1勝がチームにどのような化学反応を引き起こすのか。まずは次の試合で自分たちのサッカーをぶつけてみたいはずだ。

(取材・文 伊藤亮)
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