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勝因は70分間戦い抜ける運動量と集中力。関西学院が1967年以来のインターハイへ!:兵庫

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54年ぶりのインターハイ出場を喜ぶ関西学院高イレブン

[6.6 インターハイ兵庫県予選決勝 報徳学園高 0-1 関西学院高]

 6月6日、令和3年度全国高校総体(インターハイ)「輝け君の汗と涙 北信越総体2021」サッカー競技(福井)兵庫県予選決勝が行われた。

 今大会では、選手権予選と新人戦を連覇してきていた神戸弘陵高、新人戦で準優勝だった滝川二高がベスト16で敗退。決勝戦に勝ち進んできたのは、昨年の選手権予選と2月に行われた新人戦でベスト4だった報徳学園高と10年ぶりに決勝の舞台に戻ってきた関西学院高。両校とも優勝経験はあるが、いずれも昭和40年代後半のことであり、どちらが勝っても50年以上ぶりの優勝となる顔合わせとなった。

 前半は、お互いにゴール前まで迫るシーンやFKを得るなどしたが、互いの集中力の高い守備の前にゴールを決め切ることができないまま折り返す。後半に入ると、MF船越大空(3年)をサイドからトップ下に入れたことで前線での連携が活性化した報徳が、関学高を押し込む時間が増えた。

 しかし、ここで関学高も粘り強く耐え、試合終盤にかけて徐々に前に持ち込んでいく。拮抗した試合の決定打が出たのは、延長戦に入るかと思われた35+1分。関学高が得た右CKで、MF岩崎陸歩(2年)はショートコーナーを選択。ボールを受けたDF紀伊野敬大(3年)が右足一閃、ゴールネットに突き刺した。報徳も1点を追ったが、残り2分で追いつくことができず、試合は終了。関学高が54年ぶりに夏の王者となった。
 
 惜しくも準優勝となった報徳学園には、フェアプレー賞も授与。終了のホイッスルと同時に膝から崩れ落ちた悔しさは、出場が決まっている近畿総体での躍進の糧となることを期待したい。

 勝利した関学高は、この決勝戦で70分内では交代カードを1枚も使わなかった。終始主導権を握っていたわけではないので運動量は少なくなかったが、山根誠監督はこの試合での勝因の1つとして「トレーニングで培ってきた70分戦い抜けるだけの選手たちの運動量と集中力」を挙げている。

 水木金と週に3日間ゲーム形式で何本も紅白戦を行い、週末には公式戦を行うというスケジュールでトレーニングを重ねてきた。キャプテンの東昂希(3年)もまた、その練習で積み重ねてきていた「運動量と試合の最後まで途切れない集中力には自信があった」と語っている。

 現在のチームとしては、県大会決勝のピッチに初めて立ったため、試合前にはみんなが「緊張する」と口にしていたというが、東は「いざ試合が始まってみれば、全員が声を出せていて、シュートも撃てていたので、後ろの選手が堪えられれば必ず点がとれると思えた。お互いの様子を見て、固くなりすぎず、勝ちたいという気持ちが空回りしない良い緊張感にすることができた。今日は本当にチーム全員が素晴らしかった」と振り返った。

 また、東は総体への意気込みを語る際、敗れたチームへの敬意を持ちながらこう話している。「選手権では神戸弘陵が全国ベスト16という結果を残し、帰ってきてくれた。今回は自分たちが兵庫県代表とさせてもらうので、自分たちも他のチームの気持ちを受け止めた上で同じように、いや、それ以上を目標にしてインターハイに臨みたい」。兵庫県を代表する重みと誇り、そして「目標は高く」持ち、54年ぶりの総体に挑む。用意された舞台は、奇しくも54年前と同じ福井県だ。

(取材・文 前田カオリ)
●【特設】高校総体2021

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