beacon

12年ぶりのプリンス東海挑戦で成長中。三重決勝進出の海星は「全国で勝つのが今年の目標」

このエントリーをはてなブックマークに追加

海星高FW清水葉功は先制点を決めた

[5.26 インターハイ三重県予選準決勝 海星高 2-1 津工高 四日市市中央陸上競技場]

 令和5年度全国高校総体(インターハイ)「翔び立て若き翼 北海道総体 2023」男子サッカー競技三重県予選準決勝が26日に行われ、海星高津工高が対戦。FW清水葉功(3年)とDF岡崎颯大(3年)のゴールによって、海星が2-1で勝利した。

「チャレンジャーの方が良いと改めて思う」。試合後、青栁隆監督が苦笑いした通り、三重県勢で唯一、プリンスリーグ東海で戦う海星だからこその難しさを痛感した試合だったのは間違いない。

 12年ぶりに東海を舞台に戦う今季は格上との戦いが続き、「どのアタッカーも強いし速いので、その対応というのは個人個人のレベルが上がっている」(清水葉)のはチームとしての収穫。一方で、守備の時間が長くなり、攻撃はパスを繋いで攻めたくても自然とカウンターが主体になる。青栁監督はこうも続ける。「プリンスはもっとプレッシャーがかかる中なので、獲られたらどうしようという感覚が選手にはあると思う」。

 初戦となった3回戦の桑名西高戦も理想通りの攻撃ができず、0-0(PK3-0)での勝利。この日も「うまく行かないと思っていた」(青栁監督)。それでも、前半7分には右CKをショートで貰いにいったMF山口翠海(3年)がPA右でターンした所を倒され、PKを獲得。幸先良く先制点を奪うかと思われたが、清水葉のキックは緊張もあり、枠の右に外れてしまう。

 それならばと流れの中からチャンスを作りたい所だったが、リスクを避けてサイドに長いボールを入れる場面が続き、ゴール前に良い形で入って行けなかった。それでも、25分に決定機が訪れる。

 MF中野遼一(2年)のパスから、怪我から復帰したばかりのDF須原吏紀(3年)が左サイドをオーバーラップ。中に入れたボールを受けたのは清水葉。「(PKを決められず)申し訳ないなと思っていたので、どこかで点を決めたかった。いつも、あの形で決めているので相手の外から巻けば入るかなと思っていた」と冷静にゴールネットを揺らして、均衡を崩した。31分には相手クリアボールを拾ったDF相原一太(3年)のフィードをゴール前で競り合い、こぼれ球を岡崎が決めて2-0で前半を終えた。

 追いかける展開を強いられた津工もこのままでは終われない。片野典和監督は「海星とは1年生で2度対戦し、0-7、1-8。当時はだいぶ差があったので、選手にはそこからどれだけ成長しているか楽しみだなと言っていた」と振り返る。

 前半は長いボールを入れてきた海星にお付き合いし、津工らしい足元での戦いができなかったが、後半に入ってからはDF北川瑛大(3年)を中心とした3バックからボールを動かせるようになった。後半から入った技巧派のMF土谷飛雅(2年)や、「ワクワクする1年生が入ってきた」と指揮官が期待を寄せるFW溝部憧(1年)の存在もアクセントになり、サイドからの見せ場が増える。24分には土谷の左クロスから、後方から飛び込んだ溝部がゴールを奪った以降が続かない。

 海星にとって1失点は許容範囲内。「3点目が獲れればと思っていたけど、2-1でも良いとは言っていた。相手と一緒のようにイケイケでやるとやられてしまう。頑張って凌いでくれという感じだった」。青栁監督が振り返ったように割り切って逃げ切りを狙った結果、相原、岡崎のCBコンビを中心に要所を封じて、2-1で試合を終えた。

 例年の海星は冬の選手権出場を最大のターゲットにしているため、インターハイの相性は良くない。全国行きは3度目の出場となった2014年以来果たせていないどころか、決勝まで進む機会も少ない。だが、今年は下級生の頃から試合に出ていた選手も多い期待の世代。全国に出れば戦える期待感もある。青栁監督も選手の全国行きにかける想いの強さを感じている。「何とか、あと一つ勝ちたい。そのためにやってきた。選手らは全国でも勝ちたいと言っている」。そう話す通り、目標は全国行きではなく、全国での躍進だ。

「インターハイで全国に出て、そこで自分の力を発揮して活躍したい。全国で勝つのが今年の目標で、ベスト8以上を狙っている」。そう続けるのは清水葉。スタート地点に経つに経つために、次も負けるわけにはいかない。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校総体2023

TOP