beacon

[MOM4298]神村学園MF名和田我空(2年)_「14」が真価示す2発。チームに前向かせ、DFの「足だけ見て」スーパーゴール

このエントリーをはてなブックマークに追加

後半8分、神村学園高のU-17日本代表MF名和田我空(左)が同点ゴール。FW金城蓮央らとともに喜び、スタンドの応援団へ向けてガッツポーズ

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[5.26 インターハイ鹿児島県予選準決勝 鹿児島実高 1-3 神村学園高 OSAKO YUYA stadium]

 14番が真価を示した。神村学園高のU-17日本代表MF名和田我空(2年=神村学園中出身)は後半にスーパーゴールを含む2得点。前日の鹿児島高戦で無得点に終わり、「神村の14番はこんなもんじゃないぞ、と本当に証明したかった」という逸材が、逆転勝利をもたらした。

 0-1の後半8分、名和田は右中間でパスを受けると、右前方へドリブル。そして、相手DFの足の動きを見ながら右足を振り抜いた。「自分はちょっとでもスペースがあったら全然振り抜ける。本当に相手の足だけを見て、相手の足に本当に当たらないタイミングで自分は振り抜けるので」。ゴールは見ず、対峙したDFの足の動きに集中。その足が閉じた瞬間、ブロックできないタイミングでシュートを打ち切った。

 巻いて狙った一撃は、GKから逃げるような軌道を描いてゴール左サイドネットへ。有村圭一郎監督も「きょう仕事しましたね。スーパーゴールでしたね」と認めるゴールで1-1とした。

 前日、チームは前後半70分間で得点が奪えず、延長戦で何とか決着をつけたゲームに。「昨日のプレーが本当に悔しくて、自分の力を発揮できなかったので」と名和田は悔しがる。今年、MF大迫塁(現C大阪)から伝統の14番を受け継いだMFは、自分が絶対にチームを勝たせると決意して準決勝へ。「本当に気持ちが入っていたからこそ、ああいうゴールが生まれたのかなと思います」と微笑んだ。

 先制されて0-1で折り返す展開。前半はチャンスで仕留め切れないシーンもあったが、慌てていなかったという。「チームに下を向かせないことを本当に考えて、攻撃の選手が下を向いていたら点は遠く離れていくと思うので、そういう部分は意識していた」。そして、チームに笑顔をもたらす同点ゴール。名和田は試合終了間際にも鮮やかな崩しからの得点で勝利を決定づけた。

 後半35+1分、神村学園は中盤でインターセプトしたU-16日本代表MF福島和毅(1年)を起点に攻め、左サイドのU-17日本代表DF吉永夢希(3年)がマイナスのラストパス。これを名和田がスライディングシュートでゴールへ押し込んだ。

「彼(吉永)は本当に凄くて見てくれているので。マイナスも、ファーも、ニアも蹴れるところにボールを置いて、自分は『マイナス見て』と後半の頭に言っていたので、見てくれていて、股下を通してくれて、自分は押し込むだけだったので夢希のパスがパーフェクトだったなと思います」と感謝のゴール。有村監督からも意識付けられていた崩し方をU-17日本代表ホットラインが実践し、ダメ押しゴールを挙げた。

 今年、チームはプレミアリーグWESTに初参戦。その中で成長を実感している部分もある。「ゴール前よりも中盤で作る部分(の成長)はプレミアに入ってから本当に自分が一番感じていることであって、チームが苦しい時にどれだけボールを触って前進させるかを本当に意識してやっているので、そういう部分で手応えを感じています」。得点だけでなく、アシストやアシストの一つ前の高度なパスを出せること、ドリブルで打開できることも名和田の特長。この日も随所で発揮していた「作る力」は、ハイレベルな戦いの中でより磨きを掛けられているようだ。

 インターハイ出場まであと1勝。決勝の対戦相手は今年2度無得点に封じられている鹿児島城西高だ。「(今年2回)ゼロ点で終わっているので、それは神村学園にとって悔しいことであって不甲斐ないことなので、明日は3点、4点、5点……相手のゴールをこじ開けて、たくさん点を取って勝てるようにしたいです。今日(準決勝)、明日(決勝)は自分の価値を示せるところだと思うので、本当にチームを勝たせる14番として覚悟を持って、得点、アシストを結果で残したい」。厳しい試合が予想される決勝戦。神村学園の14番が誰よりも輝きを放つ。

後半8分に右足でゴラッソ

歓喜の雄叫び

後半35+1分にはスライディングシュートを決めた

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2023

TOP