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聖光学院が22年ぶりの福島決勝進出。新人戦との2冠、全国へ、「泥臭く、下から追い上げる力」で王者・尚志と勝負

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聖光学院高が22年ぶりの決勝進出。先制点のFW吉田友樹(11番)やCB鈴木悠真主将(5番)は決勝へ向けて切り替える声がけをしていた

[6.3 インターハイ福島県予選準決勝 帝京安積高 1-2(延長)聖光学院高 Jヴィレッジ]

 壁を超える。3日、令和5年度全国高校総体(インターハイ)「翔び立て若き翼 北海道総体 2023」男子サッカー競技福島県予選準決勝がJヴィレッジで行われ、聖光学院高が延長戦の末、2-1で帝京安積高に勝利。聖光学院は4日の決勝で01年以来2度目のインターハイ出場をかけて尚志高と戦う。

 聖光学院が、12連覇中の王者への挑戦権を獲得した。聖光学院は前半8分、10番MF小川大翔(3年)がクイックでのFK。これを「自分も準備していて、相手のマークがまだ全然ついていなかった状態でニアにボールが行ったんですけれども、相手が触って、ファーに自分が待っていて、来て、振り抜いたという感じです」というFW吉田友樹(3年)が先制点を叩き出す。

 波に乗りたいところだったが、前半16分に同じセットプレーから失点。帝京安積MF上原璃久(3年)のFKをCB江川凛(3年)に頭で決められた。聖光学院は相手のトップ下、10番MF吉田虹太(3年)に強く行き切れないところがあり、前を向かれてサイドを活用されるなど押し込まれる時間帯も。山田喜行監督は「(今年のチームは優勝した県新人戦、県1部リーグも)追いつかれた経験がほぼないんですよ。怖さもあったと思う」と分析したように、受けてしまう部分もあったようだ。

 だが、後半はかつて広島、神戸、福島で活躍した元Jリーガー・茂木弘人コーチの助言もあり、鈴木悠真主将(3年)と斎藤正輝(2年)の両CBがアグレッシブに前へ。MF館崎海翔(3年)がセカンドボールを拾い、「(活躍した東北新人戦から)帝京安積とか尚志はバックラインが強いので勝てない部分もあると思うので、地上で収める部分だったり、空中で胸で収めたり、そういうことを意識してやっていました」という吉田、FW渡邉陽路(3年)の強力2トップや小川の攻撃力を活用してシュートへ繋げて行く。

 だが、帝京安積も左SB小谷野琥珀主将(3年)や江川、GK菅野夏津(3年)中心に堅い。70分間では勝ち切ることができなかった。それでも、延長戦で「今年のチームは一体感です。全員がやることはしっかり守る時は守るだったり、そういうことを意思疎通できて、全員が喋れるのが良いところだと思います」(吉田)という聖光学院が再びリードを奪う。前半3分、右SB長田怜旺(3年)から小川へ繋ぎ、小川のクロスを渡邉が右足で勝ち越しゴール。これが決勝点となった。

 吉田は「山田先生から『チーム全体で一丸となってここで勝とう』としっかり意思疎通できて、攻めて行ってクロスから渡邉くんが点獲れたこと、全員で守り切れたことはチームの成長したところが見れたと思います」と喜び、山田監督も「息を吹き返してくれて、落ち着きを持たせて攻撃を仕掛けてくれたところで点を取れたので良かった」と勝ち切った選手たちを讃えていた。

 その山田監督が「狙っているチームなので楽しみです」という今年の世代。宿敵・尚志は年代別日本代表を複数擁し、プレミアリーグEASTで上位争いするなどこちらも注目の世代だが、「明日はいつも通り、前線から追い回して積極的にやってみたいと思います。選手権に向けても絶対に価値のある戦いだし、失うものはないので一生懸命したいと思います」と真っ向勝負を挑む考えを口にした。

 選手たちは打倒・尚志を意識し、プレミアリーグの戦いを動画配信などでチェックしてきたという。渡邉は「絶対に負けないです。球際や技術とかは相手の方があると思うんですけれども、先に触るところとか、チームで戦うところとかそこは負けないと思います」ときっぱり。そして、吉田は「相手には日本代表もいて華のある選手たちが多いと思うので、自分たちは泥臭く、下から追い上げる力を見せていきたいです」。泥臭く戦い、勝ち切って全国の高校サッカーファンを驚かせる。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2023

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