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「個人個人が勝てる、個人個人で突破する」にこだわり、試合ごとに成長。相生学院が滝川二をPK戦で下し、全国初出場へ王手:兵庫

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相生学院高がPK戦を制し、初の決勝進出を決めた

[6.9 インターハイ兵庫県予選準決勝 相生学院高 1-1(PK5-3)滝川二高 アスパ五色メイン]

 令和5年度全国高校総体(インターハイ)「翔び立て若き翼 北海道総体 2023」男子サッカー競技兵庫県予選準決勝が9日に洲本市(淡路島)のアスパ五色メイングラウンドで行われ、相生学院高が初の決勝進出を決めた。相生学院は準決勝で名門・滝川二高と対戦。1-1で突入したPK戦を5-3で制した。

 相生学院の上船利徳監督は、「試合を重ねるごとに選手の成長にビックリしていて。きょうの後半は声をかけることがなかった。感動しましたし、ビックリしました。勝って、彼らも自信がついたのか、1回戦と今では別チームです。毎試合良くなっている」と絶賛していた。

 相生学院は立ち上がりから、マンツーマンのアグレッシブな守備。前半9分には俊足右SH山崎徹也(2年)が右サイドを突破してクロスを上げる。これを「チームとしてしっかり逆のSHがファーに詰めるのは意識している」という10番の左SH河本大雅(2年)が右足で蹴り込み、先制点。滝川二はGKから徹底してボールを繋いでビルドアップしようとしていたが、フィジカルベースの高い相手のハイプレスをなかなか掻い潜ることができなかった。
 
 相生学院はCB長嶋志歩(2年)がヘッド、競り合いで一際目立つ動き。また、神戸MF日高光揮を兄に持つCB日高吏都(3年)はカバーリングや声でチームを支える。加えて、上船監督が「どの相手でも中盤で負けないですね。(練習試合で対戦する)高知ユナイテッドや大学生でも勝ってしまう」と評した中盤の3枚、スキルも高いファイターMF角山壮大(2年)、切り返しも巧みなMF杉浦煌仁(2年)、技術力の高い大型MF高本幹大主将(2年)も強みになっていた。

 滝川二はMF寺阪蒼空主将(3年)やMF三宅蔵ノ助(2年)が巧さを見せていたほか、10番MF山本宗汰(3年)が攻撃で違いを生み出す。前半は無得点で終えたが、後半5分、三宅と山本で右サイドを攻略し、山本のクロスをFW村松風亜(2年)が頭で決めて同点に追いついた。

 下からボールを繋いで攻める滝川二に対し、相生学院は後半、ショートカウンターを有効活用。突破力のある河本や交代出場MF宮城丸(1年)がシュートにまで持ち込んでいた。上船監督は「個人個人が勝てる、個人個人で突破するということがないとこの先いけない」という。縦突破を繰り返していた河本が、「味方がシュートを打てなかったら自分の負けだと思っている。シュート打てなかったら自分のクロスが悪いし、シュートで終わっても入らなかったら意味がない」とこだわりを口にしたように、各選手がチームのために特長を出そうとしていた印象だ。

 滝川二は終盤にかけてロングボールが増加。これを跳ね返されて拾われ、また押し返されてしまう。その中でCB佐藤颯介(3年)が獅子奮迅の活躍。個の力で相手を止めていたほか、的確なカバーリングを連発してゴールを守り続けていた。

 相生学院は後半33分、角山のスルーパスから宮城のシュートがクロスバーをヒット。35+4分には右CKから高本が右足ダイレクトで狙うが、滝川二GK中山荘太(3年)のファインセーブに阻まれた。

 滝川二は相手の運動量が低下した延長戦で決定機。前半7分、山本のスルーパスで交代出場FW空久保善(1年)が右中間を抜け出し、右足シュートを振ったが、これは相生学院GK木村匠斗(3年)が阻止する。また後半に山本が個人技でDFをかわして右足シュートへ持ち込むシーンもあったが、決め切ることができない。それでも、佐藤やCB向田心瑠(3年)の身体を張った守備を見せたほか、寺阪や右SB宮下烈(3年)が運動量を増やしていたこともあって相手の2点目を阻止。1-1のまま90分間を終え、決着はPK戦へ委ねられた。

 相生学院は延長後半終了間際にGKを木村からGK釜田統生(2年)へスイッチ。悔し涙を流しながら交代した先輩の思いに後輩GKが応える。釜田がPK戦で後攻・滝川二の1人目をストップ。相生学院は1人目から4人目まで連続で決めると、最後は高本が右足で決め、初の決勝進出を決めた。

 相生学院の3年生部員は4人のみで、日高を除く3人は転入生。声でチームを盛り上げ続けた日高は「明後日へ向けて全員で準備して、家族や淡路島の人たちに恩返しできるように勝ちたい。全国に繋げて、色々な人たちにプレーを見せたい」と誓った。2年前の選手権予選決勝で敗れた滝川二に雪辱。決勝で神戸弘陵高に挑戦し、初の全国切符を勝ち取る。

前半9分、相生学院高MF河本大雅が先制ゴール

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2023

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