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本気で変わらなければ「全然強いチームになれない」。初戦敗退の静岡学園は厳しさを持ってプレミア後半戦、選手権へ

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静岡学園高GK中村圭佑主将(3年)は自分たちの力を自覚し、変わることを誓っていた

[7.29 インハイ1回戦 明秀日立高 2-1 静岡学園高 忠和公園多目的広場A]

 3冠の夢は初戦で潰えた。“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグWESTで首位の静岡学園高(静岡)は明秀日立高(茨城)との初戦で敗戦。今季、プレミアリーグ、インターハイ、選手権の3冠を掲げて戦ってきた名門校は、わずか1試合でインターハイを終えた。

 川口修監督が体調不良のために不在。代わって指揮を執った浅野利紀コーチは、「静学のサッカーがらしくできなかった。そこができないとウチがウチじゃなくなってしまう。焦って蹴ったりとか前に急ぎすぎたりとか、良い崩しが2回か3回かあったと思うんですけれども、70分で2、3回くらいなので……」と首を振る。

 良さが全く出なかった訳では無い。0-1の前半34分にMF志賀小政(3年)が切り返しを交えた突破でDF2人をかわす。そしてクロスをMF福地瑠伊(3年)が折り返し、U-18日本代表候補FW神田奏真(3年)が公式戦8戦連発となる同点ゴールを決めた。

 だが、MF森崎澄晴(3年)が「自分たちでボールを持てなくて相手の圧力にちょっとビビっちゃったというか判断もなかったし、一人ひとりが考えすぎてしまっていた」と振り返ったように、相手の強度の高い守備に苦戦。今年はグループでの崩しを得意とするが、判断が遅れ、なかなかチームとしてボールを動かすことができなかった。シュート数はわずか3本。個人、グループ、チームのミスが増え、それが守備のミスに繋がる悪循環だった。

 U-18日本代表候補GK中村圭佑主将(3年)は、「チームでの攻撃がまず少なかった。味方がボールを持った時にどれだけサポートできたか、足を止めずに動けたかというところを見たら全然動けなかったし、技術のミスとかしたらいけないミスがあった」と厳しい。

 後半28分には中村が連続でファインセーブ。守備の陣形が崩れる中で「自分の仕事」を果たしていたが、35+1分に攻撃でのミスからカウンターを食らって決勝点を献上。勝利へ導くことはできなかった。

 ピッチコンディションが影響したことは確か。ただし、浅野コーチは「どこでやろうがウチのサッカーをしなければいけない。引き出せなかった自分と彼らの力不足だと思います」と言い訳はしなかった。

 自分たちの試合前に同じプレミアリーグ勢の神村学園高(鹿児島)が東邦高(愛知)に敗戦。引き締めて臨んでいたが、同じ結果になってしまった。中村は「自分も言いましたけれど、周りがもっと付いてくるような普段からの振る舞いをしないといけない。言われるじゃなくて、言う選手が出てこないといけないと思います」と求める。

 3冠の可能性がなくなったが、ここから静岡学園にとって初となる2冠に挑戦。中村は厳しい目を自分たちに向ける必要性を口にしていた。「しっかりこの敗戦から学んで次に活かさなければいけないと思いますし、『自分たちが全国出たらこんなもん』と自分の中で自覚してプレミアと選手権に繋げられれば、この負けも意味があるものになると思いますし、この負けを次に繋げれば良いという思いだけでは、全然強いチームになれないし、選手権も同じようになってしまうと思う」。強い意志を持って変化し、タイトルを必ず勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)
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