[6.4 総理大臣杯関東予選2回戦 流通経済大1-3青山学院大 時之栖G]

　2012年度 第36回 総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント(7月8日開幕)の出場権を懸けた「アミノバイタル」カップ2012 第1回関東大学サッカートーナメント大会2回戦で関東2部リーグの青山学院大が、FW武富尚紀主将(4年=浦和ユース)のハットトリックの活躍によって同1部の強豪・流通経済大に3-1で勝利。8年ぶりの全国大会出場を決めた。

　関東2部の青学大が演じた、強烈なアップセットだった。序盤に主導権を握っていたのは流経大。課題の立ち上がりをスムーズに入り、ダイレクトのパスワークなどでリズム良くボールを動かすと、右の平野伊吹(2年=尚志高)、左の中美慶哉(3年=前橋育英高)の両翼の仕掛けからゴールへ迫った。だが、前半16分、青学大が1チャンスをものにしてリードを奪う。FW関谷祐(2年=湘南ユース)の左CKを中央のCB中村周平(3年=大津高)が頭でそらすと、ファーサイドの武富が左足でゴールへと流し込んだ。

　流経大はすぐさま反撃に転じるが、先にスコアを動かしたのは再び青学大。22分、左サイドからボールをつなぐとMF白井悠太(4年=鎌倉高)からのパスを右中間で受けた武富が鮮やかなコントロールショットをゴール右隅へ決めて2-0へ突き放した。

　前半半ばとはいえ、2点ビハインド。さすがにギアの上がった流経大は36分、MF黒田拓真(3年=東大阪大柏原高)の右CKを中央のFW河本明人(4年=流通経済大柏高)が下がりながらの技ありヘッドでゴールへ押し込んで1点差とする。さらに流経大は後半立ち上がりから青学大をプッシュ。後半だけで6回のCKを得るなど、左SB椎名伸志(3年=青森山田高)らが繰り出すサイド攻撃から同点ゴールを目指した。ただ、歓喜の試合後に選手間から「やられる気がしなかった」という声も挙がっていた青学大は4バックが全く隙を見せない。武富と関谷ら前線が身体を張ってボールをおさめ、そしてカウンターから何度も格上を押し返すと32分、勝敗の行方を決定付けるゴールが生まれた。

　右中間から相手のプレッシャーを振り切ってPAへ侵入した武富が、そのまま右足シュートをゴールへ叩き込むスーパーゴールでハットトリックを達成。「自分に来る前のボールでみんなが身体を張ってくれた。みんな気持ちが入っていた」とチームメートを讃えた主将の圧巻の3発で青学大が全国切符をもぎ取った。

　昨年、4年ぶりに復帰した関東1部リーグは6勝4分12敗で11位。2部降格の屈辱を味わった。そして今季も関東2部で4勝1分4敗と波に乗ることができていなかった。武富は「決めきること、守りきることができていなかった」と振り返るが、今大会に関しては「チーム一丸で何かを成し遂げたいという気持ちが出ていた。4年間やってきた成果が出た」。現在2部の青学大が全国大会へ出場するためには今大会で優勝するしかない。その思いをひとつにしてつかんだ大きな、大きな全国切符獲得となった。

[写真]後半32分、青山学院大FW武富がハットトリックを達成

(取材・文　吉田太郎)