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優勝決定、来季1部昇格決定も…苦戦を強いられた城西国際大はさらなる成長を誓う

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[11.18 千葉大学2部L第11節 城西国際大4-1千葉商科大 城西国際大G]

 平成24年度千葉県大学サッカーリーグ秋期 2部リーグは18日、第11節を「PRINCE TAKAMADO MEMORIAL SPORTS PARK(高円宮殿下記念スポーツパーク)」(城西国際大G)で行い、城西国際大は千葉商科大を4-1で下した。1試合未消化ながら、10連勝で勝ち点を30に伸ばした城西国際大は、来季の1部昇格を決めた。また2位の帝京平成大が了徳寺大学との最終戦を1-1で引き分けたため、優勝も決定した。23日には全勝優勝をかけて、第5節の延期分、東洋学園大学戦を戦う。

 ここまで順当に勝ちを積み重ねてきた城西国際大学だったが、この日は思わぬ苦戦を強いられることとなった。天気はいいものの、試合前から強風が吹き荒れる悪条件。選手たちは「風が強かったのでロングボール主体でいこうと話していた」と作戦を立てて試合に臨んだ。

 スタメンはこの日も4-2-3-1システムでスタート。GKは平山優樹(1年=長崎日大高)、DFラインは右から溝口大気(1年=室蘭大谷高)、呉島勝士(1年=広島皆実高)、重行拓也(1年=広島ユース)、津川暢彰(1年=札幌U-18)。中盤はダブルボランチに橋本渉(1年=広島皆実高)と桑野淳史(1年=福岡U-18)。攻撃的な3枚は右から湯本直矢(3年=東京都市大塩尻高)、井之元和之(1年=都城高)、米澤康太(1年=都城工高)。1トップはこの日も長身の香川滉太(1年=瀬戸内高)が務めた。

 前半10分に城西国際大は、浮き球パスで左サイドの深い位置まで侵入した米澤がクロスを上げると、受けた香川がゴール前でボールをキープ。そこに詰めた湯本が豪快に左足を振り抜き、幸先良く先制するが、その後は持ち前のパスワークが見られず、ペースを掴めない。この日も前々節の退席処分のためベンチで指揮を執れなかった小山哲司監督も「全然動けていませんでしたね。なんでこんなに体が重たいのかなと思うくらい運動量がなかった」と振り返ったとおり、今までにないほど相手の攻撃を受ける場面が目立つ。前半最大のピンチとなった39分の相手FW吉田侑矢にシュートを放たれた場面では、ベンチで指揮を執っていた深川友貴コーチは「集中しろ!!」と、たまらず選手たちを叱咤した。

 後半開始から城西国際大は米澤に代えて花本敏生(1年=米子北高)を投入。すると後半8分、井之元のスルーパスに抜け出した香川が落ち着いてGKをかわして無人のゴールに流し込み追加点を奪う。だが前半同様、序盤に得点した城西国際大だったが、またもここから苦しい試合展開を強いられることとなる。直後の10分、重行がPA内でファウルを犯してしまい、相手にPKを与えてしまう。これは「予感があった」という平山の完全に読み切ったPKストップでピンチを逃れるが、同17分にはついにFW布留川拓耶にゴールを割られ、1点差に詰め寄られてしまう。

 城西国際大は後半17分に湯本に代えて小嶋慶蔵(1年=長崎日大高)、同18分には重行に代えて佐々木祐介(1年=大津高)を投入し、なんとか流れを引き戻そうと試みる。すると同22分、花本の左クロスがゴール前でこぼれると小嶋が左足で強烈シュート。これは相手DFが伸ばした足に当たりポストに嫌われるが、昇格のチャンスのある千葉商科大も同点に追いつこうと前に出てきたこともあり、徐々にチャンスの場面が出始める。すると後半41分、ゴール前の混戦から香川がヒールで落とすと、小嶋が左足でねじ込み、待望の追加点を奪うことに成功。同45分には左サイドを深い位置までエグった津川のマイナスクロスを香川がスルー。右サイドでフリーになっていた小嶋が蹴り込み、ダメを押した。

『千葉県大学サッカー2部リーグ優勝おめでとう!Congratulations』。試合終了と同時に観客席では手作りの横断幕が掲げられた。選手たちも笑顔で記念撮影に臨んでいたが、試合の話になると一様に厳しい表情を浮かべた。最後尾から大声で指示を出し続けていた平山も「きょうはボールばかりに目を奪われてしまっていた。その次の動きが全く見れていなかった。それで行くのが遅れたりしていたので、後からボールを追ってしまう形が多かった」と反省の弁。2得点を気を吐いた小嶋も「もっと簡単にパスを回せばサイドとかに運べたけど、みんな難しく細かく崩そう、きれいな形で崩そうとしていた。きょうの相手は手ごわい相手だったので、パスが引っかかってしまった」と反省の弁ばかりを口にした。

 小山監督も「きょうの試合のようなことをさせているつもりはない。本当に体が動いていない」。「このままじゃ全然ダメだと思う。23日にある試合でもう少ししっかりした試合をして終えたい」と終始厳しい表情を崩すことはなかった。「練習しかない」と試合後にも関わらず、1時間半、あたりが暗くなるまでミニゲームを中心とした練習を課した小山監督。選手たちにも昇格が決まった浮かれムードはなく、淡々と練習メニューをこなしていた。

 最低限の目標であった来季1部昇格を達成した。来季は1年を通した厳しい1部リーグでの戦いが待っている。新入生を加えた新チームで新たなシーズンに臨むこととなる。「新しい選手も入ってくるし、リーグのレベルも上がるので、今のままじゃいいサッカーをすると言うことは難しいと思う。幸いまだ時間はありますし、チームとしても個人としてもレベルアップして、来年活躍したいと思っています」(溝口)。来春、さらにレベルアップした城西国際大が、千葉県1部で旋風を巻き起こす姿を楽しみにしたい。

(取材・文 児玉幸洋)

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