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[練習試合]昨年「価値ある残留」果たした慶應義塾大、新戦力活躍で関東選抜A撃破

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[2.17 練習試合 関東大学選抜A 1-3 慶應義塾大 慶應義塾大G]

 昨年、関東大学1部リーグ9位の慶應義塾大が主力半数以上を欠く中で関東大学選抜Aに逆転勝ち。この日は関東選抜Aの指揮を執った慶大・須田芳正監督は予想以上の試合を見せた慶大に「慶應、良かったですね」と頬を緩ませていた。

 全日本大学選抜MF松下純土(3年=國學院久我山高、写真)が中盤の底の位置でボールを引き出し、正確なパスを左右へ散らしていく。そして隙あれば前線とのパス交換から鋭く切れ込み、PA付近でFKを獲得する場面もあった。またMF鳥山翔平(3年=桐蔭学園高)、MF山浦新(2年=東京Vユース)、MF澤根祐(3年=清水東高)と技術のある選手たちがボールを動かしてタレント軍団に対抗。そして守備陣も健闘し、試合開始直後に失点した後は、関東大学選抜BのGK峯達也(3年=桐光学園高)やGK福本普也(4年=暁星高)らが1点も与えなかった。

 そして4本目には指揮官が「うちはスポーツ推薦がなくて、みんなAO(入試)で入ってきた選手。大当たりの年ですよ。みんな勉強で入ってきた選手ですから。楽しみですよ」と絶賛した新1年生たちが躍動。相手にはサポートメンバーとして関東選抜Aでプレーしていた慶大の主力候補4人も出場していたが、食いついてくる相手を剥がしてボールを進め、MF加瀬澤力(新1年=清水東高)とMF黄将健(1年=近大附高)、FW山本哲平(新1年=國學院久我山高)がゴールを破り、試合をひっくり返した。

 優勝争いをするチームと比べると、選手層ではどうしても劣る。昨年は7勝3分12敗で9位。一昨年度、全日本大学選手権で3位に入ったチームからメンバーのほとんどが入れ替わった昨年は残留争いを強いられた。それでも経験値の少なかった選手たちが、強豪相手に勝ち取った1部残留を須田監督は讃える。「もちろん苦しかったですけれど、その中で選手たちはちゃんと1部に残った。ボクは『価値ある残留』って言っているんですけども、この(慶大の)歴史の中でどれだけ耐えられるのか、2部に落ちちゃうのか、残留するのかが一番大切だったと思う。ある意味、一昨年のインカレ3位よりも価値があるんじゃないかと、長い歴史の中でそう思いますよ。決して悪かったと思っていない」。

 今年は松下をはじめ、昨年のF東京特別指定選手であるMF武藤嘉紀(慶應義塾大2年=F東京U-18)、12年U-19日本代表FW近藤貫太(慶應義塾大1年=愛媛ユース)、MF増田湧介(慶應義塾大2年=清水東高)ら下級生時から経験を積んできた注目のタレントたちがいる。そして期待の新1年生もポテンシャルの高さを披露した。武藤は「去年は残留が最終目標になってしまったので、残留できたということだけ。今年はなんとか結果を出せるようにしていきたいと思います」。高い目標を持って開幕を迎える。

(取材・文 吉田太郎)

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