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雨中の強豪対決、インカレ王者・早稲田大が筑波大撃破!:関東1部

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[4.20 関東大学リーグ1部第3節 早稲田大1-0筑波大 夢の島]

 第87回関東大学サッカーリーグ戦1部は20日、第3節を行い、昨年度全日本大学選手権(インカレ)優勝の早稲田大と筑波大の名門対決はFW榎本大希(4年=横浜FMユース)の決勝ゴールによって早大が1-0で勝った。

 2-1で競り勝った慶應義塾大との「早慶戦」に続く連勝。榎本は「ギリギリだとは思うんですけど、きょうの試合でもピンチがありながらも耐えて1点取って勝つというのは手堅いサッカーと言いますか、早稲田らしいと言えば、早稲田らしいと思うので成果は出ていると思います。一人ひとりの守備意識の高さとか、アラートさ(警戒する点)とかがようやく基準にまで行ったんではないかと思った」。昨年度はFW富山貴光(現大宮)やMF島田譲(現岡山)ら4年生のタレントたち中心にピッチ内外で非常に高い意識を持って取り組み、全国タイトルを奪還した。今季になって初めて公式戦に絡んできた選手もいるが、優勝メンバーでもある榎本は試合での攻守に渡る意識が「基準値」まで達したことを実感していた。

 ボールを支配したのは鹿島アントラーズ加入内定のFW赤崎秀平(4年=佐賀東高)とジュビロ磐田内定のMF上村岬(4年=磐田ユース)、そして川崎フロンターレと清水エスパルスが激しい争奪戦を繰り広げているMF谷口彰悟主将(4年=大津高)の全日本大学選抜トリオを擁する筑波大だった。この日は同じく全日本大学選抜のCB車屋紳太郎(3年=大津高)と、10番MF玉城峻吾(4年=三菱養和SCユース)を欠いたが、それでも細かくボールを動かすと、エースFW赤崎が厳しいマークを振りきってシュートへ持ち込んでくる。

 17分には右サイドの角度のない位置から放った左足シュートがゴールを捉え、20分にはMF吉川修平(1年=柏U-18)のスルーパスから赤崎が右足シュートへ持ち込んだ。ただ、インカレベストGKである松澤香輝(3年=流通経済大柏高)の牙城を崩すことはできない。早大は前線からの激しいプレスバックで貢献していた榎本とFW片山瑛一(4年=川越高)の2トップから、声と身体を張ったクリアも印象的だったMF池西希(4年=浦和ユース)とMF小松聖音(4年=札幌光星高)のダブルボランチ、奥山政幸(2年=名古屋U18)と金澤拓真(2年=横浜FMユース)の2年生CBコンビまでがハードワークを徹底。ほとんど隙を見せずに筑波大の攻撃を外へ、外へと追いやると、カウンターから左SB三竿雄斗(4年=東京Vユース)や片山がPAへ潜り込んで左足を振りぬくなど筑波大ゴールへ迫った。

 筑波大はゴールへの強い意欲を見せる谷口が中盤の底の位置からPAへ飛び込んで決定的なラストパスを出すなど攻撃をテンポアップするが、チーム全体としてラストパスが点で合わない。雨中の厳しいコンディション、そして拮抗した展開の中で試合を動かしたのは早大のエース、榎本だった。後半20分、早大はセットプレーの流れから相手を押し込むと、筑波大がゴールライン際からクリアしようとしたボールが目の前の選手に当たり、右中間で構える背番号9の前にこぼれる。榎本がすかさず右足を振りぬくと、弾丸ライナーがゴールへと突き刺さった。

 ようやく生まれた先制ゴール。歓喜を爆発させた早大はしっかりと守備を固めつつも出足の良さは変わらない。ボールを回しながら穴を開けようとする筑波大の攻撃をインターセプトすると、ロングボールにFW陣がなだれ込んだ。筑波大は後半36分に右サイドでDFをかわした上村のラストパスを中央のMF曽山慶太(4年=アミーゴス鹿児島U-18)が決定的な形で合わせたがシュートはGK正面。その後もショートパスをつなぎながらPAまで持ち込んでいたが、早大の堅守の前に最後まで決定打を放つことができず。谷口は「前のところで自分達の描くような崩しがなかなかできなかった。(1分2敗と結果が出ていないが)みんなでやっていかなければいけない。(ケガ人が)いない中でも崩して行く力をつけていかないといけない」と悔しさを滲ませながら語っていた。

 自身の好守も見せて難敵を完封した早大・松澤は「相手にほとんどボールを支配される中で守備に回る時間が長かったと思うんですけど、ピッチに立った11人が手をぬくことなく全員で守備していたからこそ無失点で終わることができたと思う。去年に比べて個の力ではまだまだ劣っている部分が多いと思うんですけど、それを補うだけのチーム力が自分たちに必要だと思っている。それを全員が理解しているからこそ、全員が戦って守備をしているのかなと思います」と胸を張った。

 早大は筑波大戦を控えた18日の紅白戦で主力組がサブ組を圧倒。古賀聡監督からは厳しい指摘があったという。松澤は「チーム力を上げるためにスタメンで出ている選手だけでなくて、それ以外の選手がAチームを脅かすことが大事。だから紅白戦で均衡した試合をしなければいけないんですけど、その時はスタメン組が圧倒して勝った。全然プレッシャーもなく試合ができたので、それが良くなかった。監督からも(控え選手は)試合に出るために戦わなければいけないと。練習の中でのミスがあったから、また気持ちを切り替えて臨めたかなと思います」。チーム全体の意識が変化したことをピッチに立った選手たちが証明した。開幕戦で順天堂大に0-1で敗れた早大だが、厳しい2試合を連勝。全国制覇した昨年以上の重圧と期待の中、新チームも相手を上回るハードワークと勝負強さを見せつけていく。

(取材・文 吉田太郎)

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