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[ケイスポ]第10節筑波大戦戦評

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[慶應スポーツ ゲキサカ版]

 日本一を目指していたチームがこの順位にいることは決して本意ではない。他のチームより1試合少ないとはいえ暫定の順位では勝ち点13で最下位に沈んでいた。そんな中、未消化分の第10節筑波大戦が行われた。筑波大には約1か月前に0-3と完敗。そんな相手に新たな守備スタイルが通用するかに注目が集まった。試合は前半に不運な形で1点を失うものの、後半にサイド攻撃から2点を奪い、鮮やかな逆転勝利。残留に向けて価値ある勝ち点3を手にした。

 慶大は前半、2トップの武藤嘉紀(3年=F東京U-18)と長尾賢太郎(神戸U-18)を前線に残し、残りのフィールドプレーヤー8人が自陣でブロックを作るリトリートから素早いカウンターというサッカーを展開する。慶大は、しっかりとブロックを形成することで相手にシュートチャンスを与えることはなかったが、「縦パスだったりバイタルエリアで強く行くことができ」(松下純土主将、4年=國學院久我山高)ずに、虎視眈々と狙っていたカウンターへとつなぐことができなかった。じりじりとした試合展開の中、26分、DFラインの裏に抜け出した筑波大・中野がGK{福本晋也}}(4年=暁星高)と交錯しPKのチャンスを得る。これを茸本に落ち着いて決められ1点のリードを許す。

 慶大は、後半の頭からFWの平戸奨眞(3年=暁星高)と山本哲平(1年=國學院久我山高)を投入し攻撃の活性化をはかる。すると流れは徐々に慶大に。迎えた59分、バイタルエリアでボールを持った端山が右サイドを駆け上がった溝渕雄志(1年=流通経済大柏高)にピンポイントのスルーパスを通す。溝渕がワンタッチでクロスを上げると待ち構えていた松下主将が頭で合わせる。GKの手をかすめて、ゴール右に決まり慶大が同点に追いついた。さらに68分、左サイドでボールを受けた武藤がDFとの1対1を制し、「武藤と目が合っていた」平戸へと低くて速いクロスをゴール前にあげる。相手ディフェンダーより一歩先にボールに触れ、「気持ちで押し込んだ」シュートが筑波大ゴールへ決まり、慶大は待望の勝ち越しゴールをあげた。その後は筑波大に押し込まれる場面が続くも何とかしのぎ切りタイムアップ。残留に向け貴重な勝ち点3を手にした。

 前々節、そして前節は完全に引いてカウンターを狙うサッカーをしていた慶大。しかしこの日の慶大は、前半こそリトリート重視の戦術を採用したものの、後半は前戦からのチェイシングで主導権を握るサッカーで相手を圧倒した。守備に関して新たなオプションを得たことは、これから続く残留に目指した戦いにおいて有利に働くだろう。残留ラインとは勝ち点差1で残り5試合。今節のような戦いを続けられれば、残留への道はひらけてくるだろう。


以下、慶應義塾大の試合後のコメント


松下純土主将(4年=國學院久我山高)
―今日の試合を振り返って。
「前半はボールに当たれないというシーンが多くて結構取られるということは僕たちも予想通りだったんですけど、それにしても縦パスだったりバイタルエリアて強く行くことができなくて、よく1点だけで抑えたなと。逆に後半はしっかりと自分たちで縦パスを塞いだり負けてるということもあったんで強く行けてそれがうまくはまったので、戦術をうまくできたことが2点取れたことに繋がったと思います」

―自身の得点については。
「溝渕が良いボールをあげてくれて、最後ぶっちゃけボール見てなくて、当たるかなという感じだったんですけど、うまく当たってくれて入ったんで本当に溝渕のクロスが良かったなという感じです」

―ハーフタイムの監督の指示は。
「後半の最初は前半と同じようにやろうと。0-1で負けてたんで15分くらいたってからは前から行って僕らが主導権を奪い返そうということでやってそれがしっかりできて、僕らも運動量あげてやれたので、そこがうまくはまったポイントなのかなと思います」

―ホームでの試合でしたが。
「完全に僕らが有利というかいつもやってるグラウンドですし、関係者も多く観に来てくれましたし、そういった中で絶対に勝利が必要でチーム状況もそうですし支えてくれる人たちのためにも勝ててよかったです」

―次節は早慶戦だが。
「個人的には最後の早慶戦で、やっぱり違った思いもありますし、去年から5連敗中なので、そろそろ連敗を止めないといけないですし、次もみんな観に来てくれると思うので、そういう応援してくれる人たちのためにも必ず勝利したいと思います」


(文・取材 慶應スポーツ 青山直樹)

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