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[全日本大学選抜]フィールド唯一の下級生MF重廣、指揮官にらむ負けん気の強さも

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 負けん気の強さで上級生へ食らいつく。全日本大学選抜の阪南大MF重廣卓也(2年=広島皆実高)はフィールドプレイヤーで唯一の2年生。試合前には「なかなか慣れません」とハニかみながら話していたものの、1本目と3本目でダブルボランチの一角を務めると冷静にパスをさばくなど、堂々のプレーをみせた。

 この日の試合後、同選抜の神川明彦監督は「非常にいい」と重廣を高評価。「選ぶかどうかは別」と前置きしながらも、「(選抜へは)遅れてきた選手だが、落ち着きもいいし、僕に対してにらみも利かせてくる。そういう選手は好きですね。本当にいい選手だと実感した」と語った。

 ルーキーイヤーの昨季は一度も全日本大学選抜へ呼ばれることがなかった。しかし、関西選抜の一員として、2月のデンソーチャレンジ杯を戦うと、翌3月のバルセロナ遠征を行う全日本大学選抜へ1年生でただ一人、招集された。

 期待を胸に参加したバルセロナ遠征。もも裏肉離れを抱えながらも、試合出場を訴えたが、選抜チームのトレーナーやスタッフの判断で出場時間はわずかだった。当時のことを振り返るMFは「だいぶ(監督を)にらんでました(笑)俺はやるって言ったのに。なんでやらせてくれないんだっていう思いが強くて……」と振り返る。

 その後、バルセロナ遠征を終えた全日本大学選抜は3月下旬に日韓戦を戦った。チームの一員として帯同した重廣だが出場機会は無く、最後までベンチへ座っていた。試合は1-2の敗戦。1点を追う場面でDF萩間大樹(専修大4年=川崎F U-18)が本職ではないボランチで投入されたことも、発奮材料となった。重廣は当時を振り返ると「だって、萩間さんがボランチで出たんですよ?なんで……」と唇を噛む。

 悔しさを重ねるなかで迎えた今回の全日本大学選抜“最終選考合宿”。「結果を出したい」という強い心意気で計60分間プレーしたMFは「自分の持っているものはアピールできたかなと思う。やり残したという思いも少しはあるが、やるべき仕事はやったかな」とホッとした表情も浮かべた。前線でボールへ絡み、サイドからチャンスも演出。落ち着いたボールさばきで中盤を司った。

 とはいえ達成感はあると話したが、本登録メンバー生き残りへは「手応えはないですね」と険しい表情もみせ、「同じポジションの選手が良かったので危機感は感じています」とも話す。今後は阪南大で関西学生リーグが続く。「これからもチームに帰ってやるべきことはあるし、まずは戻って結果を残すことが大事」。3日間に渡る選考会を終えた2年生MFはホッとした表情を浮かべながらも、力強く先を見据えた。

(取材・文 片岡涼)

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