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広島ユース出身ルーキー・中央大MF加藤陸次樹が2戦連続先発、双子の兄の奮闘が刺激に

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[5.1 第90回関東大学リーグ2部第5節 中央大1-3東京国際大 東洋大G]

 袖を通すユニフォームは別々のものになった。それでも今も兄弟はともに同じ方向を見据え、一緒に走り続けている。中央大のルーキーMF加藤陸次樹(1年=広島ユース)は4月23日に行われた第4節・拓殖大戦(3-1)に先発し、大学リーグデビュー。続く第5節・東京国際大戦(1-3)でも2列目左サイドで先発した。

 サンフレッチェ広島ユース出身の陸次樹。双子の兄である威吹樹と小中高と同じチームでプレーしてきたが、大学は別々の道を歩むことになった。広島ユースで主将を務めていた兄は、関東大学リーグ1部の法政大への進学を希望。弟の陸次樹は、中央大OBでもある広島ユースの沢田謙太郎監督から話を聞く中で、自身には中央大が合っているのではないかと判断し、進路を決めたという。

 ともに関東へ出てきたものの、別々のチームで挑戦する日々がスタートした。すると1部の法政大へ進学した威吹樹は、開幕戦・筑波大戦の後半27分から途中出場して早くもデビュー。弟がメンバー入りできないなか、兄は一足先に大学リーグのピッチへ立った。

 弟・陸次樹は、兄から大学リーグデビューの感想を聞いた時のことを振り返ると「兄貴は開幕戦で途中から出ていて。実際に話を聞いたら、すっごい悔しくて。本当に悔しくて……」と当時の心境を思い出し、表情をゆがめた。

 しかしそんな兄の奮闘が刺激となり、日々の練習に全身全霊で打ち込むと陸次樹にもチャンスが舞い込んだ。そして第4節で待望のメンバー入りを果たすと先発デビュー。「兄貴が先に試合に出たという刺激もあって、練習から必死にやって。自分はようやくデビューしたという感じです」と言う。兄は開幕戦と第5節に途中出場するのみに留まっているが、弟・陸次樹はデビューから2戦連続先発と出場時間を伸ばした。

 広島育ちの双子が関東の地で奮闘している。当初、進路が別れることについて、深くは考えていなかったというが、実際に大学生活がスタートすると違和感が生まれたようだ。陸次樹は「小中高とずっと兄貴と一緒にやってきて。改めてずっと励まされてきたんだなと思いました」と口を開く。

「いつも兄貴と一緒にいて、試合に終わった後も誰よりも一番色々言ってくるのは兄貴でした。俺も色々言っちゃうし、互いに色々言い合っていたので。今は物足りないというか……少し寂しい気持ちもありますね」

 陸次樹という名前の由来。“陸”という字には「陸に足を着けて、一歩一歩ずつ進んでいく。“地に足着けて、ふわふわするな”という意味があるみたいです」と明かした。わずかに先を行く兄の背を追い、時に並び、また時には抜かしながら、陸次樹は一歩ずつ一歩ずつ、前へ進んでいく。

(取材・文 片岡涼)
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