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[関東]明治大優勝決定お預けも、「進化バージョン」でライバル法政大に“力勝ち”

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DF須貝英大(左)がMF紺野和也を封じた

[10.26 関東大学L1部第18節 明治大3-1法政大 BMWスタジアム平塚]

 明治大法政大に3-1で逆転勝ちした。2連勝で勝ち点は49。2位の桐蔭横浜大も勝利したために優勝決定はお預けとなったが、次節で勝ち点をあげれば、3年ぶり5回目の優勝が決まることになる。

 ライバルに“力勝ち”した。両チームは今夏の総理大臣杯決勝でも激突。ハイレベルな好ゲームを演じた。法大は今季の天皇杯でJ1のガンバ大阪を破るなど、快進撃をみせてベスト16に進出。同大会の2回戦で川崎フロンターレに惜敗していた明大にとっては、特に意識を強める相手でもある。

 試合は前節同様に先制点を奪われる展開となったが、後半19分に後半19分にFW佐藤亮(4年=FC東京U-18)の2試合連続となるゴールによって同点。さらにわずか1分後にMF森下龍矢(4年=磐田U-18/鳥栖内定)の得点で逆転に成功すると、同42分にも森下がダメ押し点を決める。強さをまざまざと見せつけた明大。栗田大輔監督も「完全にウチの力で勝てたなと思います」と充実の表情で振り返った。

 試合前から一喜一憂させられた。同会場のBMWスタジアムで行われた第1試合で桐蔭横浜大が東洋大相手に引き分け以下に終われば、同日優勝を決める可能性が出ることになっていた。そして試合は後半1分に東洋大が先制。イレブンは優勝決定の可能性を感じながら、試合前最後のミーティングに臨んだ。

 しかしミーティング中に今度は桐蔭横浜大が反撃を開始。同点、そして逆転まで進み、今節の優勝の可能性がなくなる。だがミーティングを終え、今度はウォーミングアップを繰り返していた後半40分に東洋大の同点弾。イレブンの士気も一気に高まったが、直後の桐蔭横浜大の勝ち越し弾で苦笑い。結局のこの日は自分たちの試合を待たずに、優勝決定持ち越しが決まった。

 ただそのことで隙が生まれるほど、明大イレブンは心はヤワではない。DF陣を中心に複数の怪我人が出ていることもあるが、この日は「進化バージョン」だという作戦を決行。守備時に4-4-2、攻撃時に普段の3-2-3-2に戻すことで、相手の長所を消すことに重きを置いた。特に相手のキーマンであるMF紺野和也(4年=武南高/FC東京)を自由にさせないために、栗田監督は左SBを務めたDF須貝英大(3年=浜松開誠館高)に「8:2で守備に頭を置くように」と指示していたという。試合内容からも作戦も完璧にはまったことは明らかだ。

 理想を追い求めればきりがない。後期に入っても攻守ともに他校を圧倒する明大だが、失点はこれで4。前期の5失点を下回るという目標を掲げていただけに、リーチがかかってしまった。レベルが高すぎる話だが、選手たちは真剣に取り組んでいる。ただ「僕たちが目指しているのは3冠を獲るという真の日本一」(森下)。勝ち点では史上最多の17年筑波大の記録更新にあと6と迫ったが、あくまでも目標は「真の日本一」であることをイレブンは共有している。

 いよいよ、自力で優勝が決まるところまで来た。試合前日に桐蔭横浜大が引き分け以下に終われば試合を待たずして優勝が決まる可能性があるが、本音を言えば、自分たちで勝ったピッチで優勝の味を噛みしめたい思いが強い。試合前日に決まってしまった場合は、「(練習場のある)八幡山で胴上げしてもらいます」と苦笑いした栗田監督だが、「いい状態で準備をして来週の順天堂大戦(味フィ西)を迎えたい」とあくまでも一戦必勝を強調。森下も「来週もシチュエーションに左右されるけど、みんなで気持ちを整理して戦いたい。西が丘は大学サッカーの聖地。そこでドカンと打ち上げらえるのは一番いいかもしれませんね」と気を引き締めた。

(取材・文 児玉幸洋)
●第93回関東大学L特集

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