beacon

[デンチャレ]名門校でベンチを温めた高校時代…「陽の当たらない選手だった」東北選抜MF得能草生はJ2開幕戦を経験し自信を深める

このエントリーをはてなブックマークに追加

[2.28 デンチャレ グループA 東北選抜2-0関東選抜B ひたちなか市総合運動公園]

「わりと充実しています。いままで陽の当たらない選手だったので」。東北選抜MF得能草生(仙台大3年=青森山田高/水戸内定)は、そう言って額の汗を拭った。

 J内定選手としての違いをみせた。後半12分から途中出場した得能は、同18分に左サイドから切り込んでシュートに持ち込み、先制点の引き金となるCKを獲得。そして同43分にはカウンターからダメ押し弾を記録し、実力者が揃う関東選抜Bの選手を圧倒するパフォーマンスを披露した。

「前半から攻められるシーンもあって、ゼロで抑えてくれたので、自分たちが入って流れを変えようと話していた。流れを変えられたのは、すごく嬉しかった。得点も公式戦では今季初。でもチーム全員で勝ったなという感じがします」

 165cmの身長が大きく見えるほど、今の得能からは自信が溢れ出ている。昨年末の大学選手権(インカレ)で優勝候補の明治大を破る立役者となった得能は、大会後に水戸ホーリーホックの練習に参加。キャンプでもアピールに成功すると、シンデレラボーイは入団内定、特別指定選手登録、そしてJ2開幕戦でJリーグデビューと、階段を一気に上った。

 しかしそれまではプロを現実的に意識することが出来なかったという。中学時代までを過ごした北海道から、高校で強豪の青森山田高に進学。MF武田英寿らを擁して全国選手権準優勝を飾った代だが、最後の選手権は全試合に出場しながらも、すべてで途中出場。「あまり陽の当たらない選手」だったと振り返るのは、その経験からだ。

「高校時代は後半から出るくらいの選手。出場時間も多くなかった。だから悔しさはずっと持ち続けてきました。大学でプロになれたらいいなと思ったけど、本当に意識するようになったのは、去年のインカレで明治に勝つことが出来てから。マッチアップした選手が京都に内定していた選手(福田心之助)で、もっとこういう選手とやりたいと思ったことで、プロを意識するようになりました」

 2月18日の清水との開幕戦、後半14分から立ったピッチには、武田英寿もいた。高卒で浦和に入団したものの、毎年のようにレンタル移籍を経験。今年から水戸に育成型期限付き移籍で加入している。得能にとっては初めてのプロクラブ。旧友との再会は、「いろいろと教えてもらうことが多かった」と心強かったようだ。

「ヒデ(武田)を最初に見たとき、こんな凄い奴いるんだという感じだった。そんなヒデが結果的に苦しんでいるので、甘くない世界だなと思います。でも(水戸は)キャンプに参加して、雰囲気やチームが目指している方向性を説明してもらって、ここなら成長できると思った。今後の話はこれからになると思うけど、機会があればJリーグでプレーしたいです」

 今季のJ2クラブの一員になったことで、恩師・黒田剛監督が率いる町田と対戦するチャンスもある。デンチャレ後の3月12日にアウェーでの対戦が控えており、再び参加することになれば、再会することになりそう。「(内定が決まってから)まだ話せていない。タイミングも難しくて」と苦笑いする得能だが、楽しみは広がるばかりだ。

(取材・文 児玉幸洋)
●第37回デンソーカップチャレンジサッカー茨城大会特集

TOP