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[関東2部]3冠清水JY、ユースで10番を背負ったエリート…立正大MF五十嵐海斗「悔いを残さないようにやり切りたい」

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[10.8 関東大学L2部第16節 立教大1-0立正大 立教大G]

 3年ぶりの1部復帰を目指す立正大は、残り8試合を首位で迎えた。しかし中断明け初戦となった前節の早稲田大戦を1-1で引き分けると、続く立教大戦に0-1で敗戦。逆転を許した首位の駒澤大とは勝ち点差4に開き、3位の関東学院大には勝ち点差2に詰め寄られた。

 MF五十嵐海斗(4年=清水ユース)は1点ビハインドの後半32分からの出場となった。中盤に入ってゲームをコントロール。持ち前のパスセンスで好機を演出したが、得点につなげることは出来なかった。

 ただ五十嵐は「チームとしてやっていることは質も高いと思うし、やりたいことは出来ている」と話すと、「あとは決定力を上げるところと、一瞬のスキを突かれないこと。プレーしていても感じるところなので、勝負所で負けないことが大事になってくると思います」と頭を切り替えた。

 エリート街道を歩んできた。清水エスパルスジュニアユース清水エスパルスユースのいずれもで10番を背負ってプレー。中学3年生の時には世代のタイトルを総なめにする3冠(JFAプレミアカップ、日本クラブユース選手権、高円宮杯)を達成。高校3年生の時にはトップチームに2種登録もされた。

 トップ昇格は果たせなかったが、同じく清水で主力だったFW青島太一(4年=清水ユース/栃木内定)や、JYの同期で名古屋U-18に進んでいたMF榊原杏太(4年=名古屋U-18/名古屋内定)とともに立正大に進学。「高校時代に感じた課題を克服しようと思って大学に来た。小さいころからやってきた仲間もいたので負けないようにという気持ちでやってきました」。そして何より「エスパルスに戻れるように」という明確な目標を掲げて過ごすことで、4年間を充実させるつもりでいた。

 ただ順風満帆とは言い難い大学生活になった。1年目からAチームに絡み、第14節の筑波大戦では初ゴールも記録していたが、2年生の夏に右肩を脱臼。手術を経験すると、3年生の時には今度は逆に左肩が外れることが多くなってしまい、再び手術をすることになった。

 自分がなかなかボールを蹴ることすら出来ない日々を過ごす中で、榊原や青島は主力として活躍していたが、リハビリ期間を過ごす五十嵐の気持ちを支えたのも、2人の活躍する姿だったという。「この4年間、彼らの姿を見てきて、成長を見せてもらった。今も彼らの背中を見ながら、日々頑張れています」。

 大学でのリーグ戦は残り6試合、五十嵐の大学サッカー生活も残り2か月を切ったことになる。プロ入りの夢は可能性がある限り最後まで追うつもりでいるが、地元静岡県にあるハウスメーカーへの就職も内定させている。

「就職すればサッカーからは離れることになります。でもプロから声がかかれば、行っていいよという話をしてくださっている。だからサッカーに悔いを残さないようにやり切りたいです」

 何度も「やり切りたい」という言葉を繰り返した五十嵐。「大学に入ったころよりも成長している実感はある。プレーできなかった時間で、精神的にも一皮むけたと思っている。今までやってきたことに自信を持って、やり切りたいなと思います」。がむしゃらに夢を掴みに行く。

(取材・文 児玉幸洋)
●第97回関東大学L特集
児玉幸洋
Text by 児玉幸洋

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