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0-5大敗後の“ホーム開幕戦”で大宮Vを支えた存在…DF村社汐理「もっと点を取りたい、守りたい気持ちが強く出てくる」

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大宮アルディージャVENTUSのDF村社汐理

[9.20 WEリーグ第2節 大宮V 1-1 新潟L NACK]

 ホーム開幕戦に集まった大勢の観衆が、WEリーグ初陣で0-5の大敗を喫した大宮アルディージャVENTUSを蘇らせた。試合後、岡本武行監督は「拍手で選手を鼓舞していただいて、それが選手のパワーになった」と感謝の言葉を語った。

 WEリーグ発足に伴い創設された大宮Vにとって、この日はクラブ史上初の公式戦ホームゲーム。シーズン初戦ではなでしこリーグから参入した強豪INAC神戸レオネッサに敵地で0-5の大敗を喫し、トップリーグの洗礼を浴びせられる結果に終わったが、あれからたった1週間でまったく異なる顔を見せた。

 前半7分には前節と同じく早々にリードを許す展開となり、嫌なムードも漂った。しかし、そこからチームは奮起。アグレッシブなプレスと縦パスを有効に使った攻撃で徐々に主導権を握り返すと、前半のうちにセットプレーを中心に数多くのチャンスを作り出した。さらに後半5分、FW高橋美夕紀が直接FKからクラブ史上初ゴールを記録。その後も迫力のある攻撃を続け、1-1のドローで史上初の勝ち点を獲得した。

 試合後、選手たちが公式マスコットのぬいぐるみを手にスタジアムを周回すると、NACK5スタジアム大宮に集まった3,419人の観衆からは大きな拍手が送られた。新型コロナ感染対策のため、ファン・サポーターは声を出して応援することはできない中、大宮Vの選手たちが見せた熱気あふれるパフォーマンスへの“答え”だった。

 そんなファン・サポーターの後押しは、試合中にも際立っていた。

「やっぱり少し違うなと思っている。なでしこリーグで感じた雰囲気とは一味も二味も違う。かける思いも違う」。そう語ったのは前身のFC十文字VENTUSから加入したDF村社汐理。対戦相手の新潟Lのストロングポイントである左サイドと対峙し、「意識していた」というドリブルで序盤の難しい時間帯で存在感を放っていた右サイドバックだ。

 サポーターの声に包まれることで「気持ちが高揚するというのが一番」と思いを明かした村社は次のように言葉を続けた。

「もっと攻めないといけない、点を取らないといけない、もっと点を取りたい、守りたいという気持ちがすごく強く出てくる感じです。サポーターはなくてはならない存在だと思いますし、自分はサポーターの立場でサッカーを見ていた時期があったので、サポーターの方も元気になるような選手になりたいし、エネルギーを交換し合えたらなと思っています」。

 試合中には複数の選手が足をつる姿も見られたが、大宮Vのハードワークが絶えることはなかった。そんな姿を見つめた岡本監督は「拍手で選手を鼓舞していただいて、それが選手のパワーになった。このペースで90分持つかなというのもあったが、90分最後まで走り切れたのはサポーターの応援があってのこそだった」と感謝を述べた。

「チームが始まって初めての勝ち点で、本当は勝ち点3が欲しかったけど、1を積み上げられたことを前向きに捉えてもいいと思う」(村社)。ホーム開幕戦で上々のリスタートを切った新設クラブの挑戦はここから始まる。

(取材・文 竹内達也)
●WEリーグ2021-22特集ページ

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