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クロップは「助けたい症候群」?「医者になりたかった」と明かす

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 リバプールユルゲン・クロップ監督が自身は「助けたい症候群」にかかっていると話している。『eBOOK』の『リーディング・ザ・ゲーム』で話した内容を英『ガーディアン』が伝えている。

 ドルトムントでの成功からリバプールでも大きな期待を寄せられているクロップ監督だが、「私は『サッカーを革命しに来た』と考えて監督になったわけではない。断じて違う」とコメント。

「私はこれまで『サッカー』それ自体についてあまり思考を割いてこなかった。ただ自分が必要だと思うことだけを考えてきたんだ。より走って、プレスをし、アグレッシブに動けるチームにするようにね。リーグを制覇するなんてこと、考えたこともなかった。一度足りとも」と言う。

「自分が監督になるなんて幸運、とても信じられないよ。ただそうなってしまったんだ。そして今も監督であり続けている。そのおかげで、2013年にはUEFAチャンピオンズリーグ(欧州CL)で決勝まで進出した。あの試合は負けたが、トロフィーを逃したとは考えていない。まったくね」

「トロフィーやメダルは、クラブハウスのどこかに置かれるだけのものだ。それがいつ、誰の手によって獲られたものなのかなど忘れてしまう。重要なのはその瞬間そのものだ。その試合に出場したという思い出こそが大事なんだよ。その試合の一部を担っていたという記憶がね。それが全てだ!その経験がね」

 またドルトムントを率いていた昨季を振り返ったクロップ監督。不振にあえいでいたドルトムントはブレーメンに1-2で敗れると、開幕からはわずか4勝。直近3試合では2敗1分でウィンターブレイクを迎えた。それでも、ブレーメン戦を終えて自宅に帰ると妻のウラ・サンドロックさんは、試合結果は気にせずに夫であるクロップ監督を温かく迎えてくれたという。

「ブレーメン戦が終わった後、家に帰ると妻に言われたんだ。『やっと終わったね』と。そのとき本当に穏やかな気分だった。ブレーメン戦を落とし、私たちは17位か18位にいた。これが意味しているのは、降格圏にいる状態でクリスマスを過ごさなければならないということだ。けれど私は家に着くと、自分が別人になったような気分になった。だからこそ、抱えている問題に対して新たに取り組むことができたんだ」

 妻のお陰で切り替えられたという指揮官は、「幸運なことに、それからはうまくいった。私のプレーも結果も、後半戦では予想以上に良いものになった。もちろん、それまでの結果が精神的に重くのしかかっていたから良い気分ではなかったけどね」と話す。

「正直に言うと、私にとって、サッカーというのは90分間、死ぬほどシリアスになるが、それだけだ。そのために周囲の人間は全力を尽くし、主役たちは試合に備える。まったく狂っているね。幸運にも、私はそのことがわかっている程度に賢い人間だ。だから課題に対してはもっとユーモアを持って取り組むようにしているよ」

 リバプールで多大な期待を持って迎えられたが、そんな状況をクロップ監督はけん制する。「クラブ側には自分を世界で最高の監督のように扱ってほしくないんだ。私は常にこう言ってきた。『どうか神格化なんてしないでくれ』と。敗北に関しては私が責任を取るし、全ては私の肩にかかっている。選手ではなくてね。それが私の考え方だし、これ以外の方法は取れないんだ」と話すとおりだ。

 また「もともとは医者になりたかったんだ。未だに『誰かを助けたい症候群』にかかっているんだと思う」と明かすと、「ただ、私は医療の道へ進めるほど賢くなかったんだ。嘘ではなくてね」とユーモアを交えて語った。
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