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バルサ、“ラ・マシア”の凋落...この3年で補強に390億円投じるもカンテラ登用が減る

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若手選手のレンタル移籍は有効か?

 自慢のカンテラ(下部組織)を誇るバルセロナだが、今夏多くの生え抜き選手がチームを去ることになり、クラブの方針にも変化が生じているのかもしれない。スペイン『マルカ』が伝えた。

 ジョゼップ・グアルディオラ現マンチェスター・シティ監督は、バルセロナを率いていた2010年12月、カンテラの有用性についてこう語った。「バルサのカンテラがレアル・マドリー、ビジャレアル、エスパニョールのものより格段に優れているわけじゃない。バルサではそういった選手がトップで起用される。そこで違いが生まれるんだ」。あれから5年半が経ち、クラブを取り巻く状況は大きく変わっている。

 現在バルセロナを率いるルイス・エンリケ監督は、今季トップチームにわずか8人のカンテラーノ(下部組織出身選手)を抱えるのみだ。これは2007-08シーズン以来、最低の数字である。DFマルク・バルトラマルティン・モントーヤ、MFセルジ・サンペール、FWサンドロ・ラミレス、ムニル・エル・ハダディ...。実に5人のカンテラーノが今夏チームを後にした。

 バルセロナは一方で、近年補強に大金を投じている。この3年間で投じた資金は3億4300万ユーロ(約394億4500万円)。巨額を費やして15選手を獲得した。それに応じて当然カンテラーノの昇格は減り、同期間にトップ昇格して現チームに残るのはGKジョルディ・マシップだけである。

 ラ・マシア(バルセロナの育成寮)は最早優秀な選手たちを輩出することができなくなったのだろうか。それとも、クラブ首脳陣や育成組織の管理方法に問題があるのだろうか。「我々が(前とは)異なるモデルに向かっているのは明らかだ。カンテラより補強を優先している。プレースタイルは崩壊の危機にある」。2014年に会長選に立候補したビクトール・フォント氏はそう主張し、クラブに方針転換の理由を求めた。

 以前バルセロナでスポークスマンを務めたトニ・フレイシャ氏もフォント氏と同意見だ。「これでは他クラブと何ら変わりなくなってしまう。非常に悪い傾向だ」。クラブのカンテラ軽視に危機感を募らせた。

 しかしながら現バルセロナ首脳陣は、この現状にそれほど懸念を抱いていないようだ。ジョゼップ・マリア・バルトメウ会長は2015年の会長選の際に育成に力を注ぐことを公約。だが現時点でその努力は実を結んでいない。

 バルトメウ会長は「トップチームに上がるのは非常に難しい状況だ。能力の高い選手が揃っていて、居場所がない。シャビやイニエスタもそういうのを経験してきている。今後はカンテラーノが1~2年他クラブに移籍し、1部での経験を積んで復帰するようなことが頻繁に起きるだろう」と述べ、若手選手のレンタル移籍を歓迎した。

 しかし、それを重視しても、今夏バルセロナに復帰したのはMFデニス・スアレスただ一人である。補強に力を入れたことが、若き才能の流出につながった。バルサはこの現実を受け止めなければいけない。

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