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「一人だけの王様になりたいのなら…」若きドログバを救ったモウリーニョの言葉

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チェルシー時代のFWディディエ・ドログバジョゼ・モウリーニョ監督

 20年間の現役生活に幕を閉じた元コートジボワール代表FWディディエ・ドログバ(フェニックス・ライジング)。チェルシーでの輝かしい功績がその偉大さを物語っているが、実は最初のシーズンでクラブを離れたい気持ちがあったようだ。だが、そんな彼を救ったのはジョゼ・モウリーニョ監督(当時)の言葉だったという。

「最初のシーズンが終わった時、もっとリラックスしてプレーできるところを探していた。マルセイユに戻りたくなっていたんだ。あそこに行けば、チームが私のためにプレーしてくれると思ったからね」。(英紙『ミラー』)

 23歳になるまでフランスの下部リーグでプレーし、初めてトップカテゴリのギャンガンに加入したのが2001-02シーズン途中。そこで頭角を現したことで、1年ごとにマルセイユ、チェルシーにステップアップしていったドログバだが、ビッグクラブの加入1年目はストレスに晒されていたという。

 1年目は26試合に出場して10得点。「マルセイユでは自分がゴールを決めていたが、ここではCBですら10点、15点を決めている。じゃあ、いったい俺はどこでプレーすればいいんだ」。しかし、そこで手を差し伸べたのはモウリーニョ監督だった。

「彼が私を勇気付けてくれた。『もしここで一人だけの王様になりたいのなら、元のチームに戻ればいい。だが、ここには22人の王様がいる。それを受け入れてプレーしろ。さもなければ元の場所に戻って、みんなを従えた一人だけの王様になればいい』ってね」。

 就任初年度の名将に鼓舞されたドログバは「これこそ自分が求めていた挑戦だと理解した」。2シーズン目も29試合12得点とゴールは多くなかったが、プレミアリーグ連覇に貢献。そうして迎えた28歳での3年目、プレミアリーグ36試合に出場し、20得点で初めて得点王を獲得した。

「自分がレベルアップする必要があるのは分かっていた。また、自分にとっては困難な挑戦だった。だが、あれがあったからこそ今の自分がある」。その後、プレミアリーグ優勝2回、UEFAチャンピオンズリーグ制覇など、華々しい活躍で母国の英雄となったドログバ。彼にとってモウリーニョ監督は、まさに“スペシャル・ワン”の存在だったようだ。

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