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ラ・リーガは今季もGLT導入見送りへ…欧州5大リーグで唯一“VARのみ”

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ラ・リーガはGLTの導入ならず

 スペインサッカー連盟(RFEF)は10日、2023-24シーズンのラ・リーガで適用する判定システムを発表し、昨季大きな議論を巻き起こしたゴールラインテクノロジー(GLT)の導入は実現しなかった。今季も欧州5大リーグで唯一、判定補助システムはビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)のみの運用となる。

 ラ・リーガは現在、欧州5大リーグで唯一GLTを導入しておらず、たびたび物議を醸す判定が起きていた。

 昨季は第35節のエスパニョール対アトレティコ・マドリー戦で、FWアントワーヌ・グリーズマンのシュートが一時ノーゴールと判定されるも、VARの介入によってA・マドリーの得点に覆るという事象が発生。この事象ではゴールラインの延長線上に置かれたカメラからはGKフェルナンド・パチェコの身体でボールが見えず、代わりに空中にある“スパイダーカメラ”がゴールインを示す証拠映像として使用されたが、本来はVAR使用を前提にしていない映像を使用することに疑問が呈されていた。

 試合は3-3の引き分けに終わったが、残留争いをしていたエスパニョールは試合後、この判定とVAR運用に対して声明を発表。「ゴール判定に使われた唯一の画像はボールが完全にゴールに入ったかどうかを判定するのに不可能な視点から撮影されている」と批判し、不適切な判定で被害を受けたとして試合の無効を主張した。ところが、リーグ側は試合の成立を決定。スコアは変わらず、この勝ち点が大きく響いたエスパニョールは最終的に2部に降格した。

 こうした事案を受けて、スペイン国内ではGLTの導入を求める声が多く挙がっており、RFEFも3月22日に新たな判定システムの提供社を募集していた。しかし、国内の映像制作会社によって入札プロセスの不公平さが指摘されたことで、4月21日にマドリード商事裁判所によって募集の暫定的停止が決定。RFEFも新シーズン開幕まで約1か月となった今月10日、裁判所の決定に沿って募集を中止し、昨シーズンと同じ判定システムを適用することを決断した。

 また今回の決定では、半自動オフサイドテクノロジー(SAOT)の導入見送りも決まった。SAOTはオフサイド判定に関するVARチェックの時間を短縮でき、人為的なミスも減ることが期待できる新たな判定システム。カタールワールドカップの他、セリエAでもすでに導入されており、スペインでも国王杯決勝など一部試合で使用実績があるが、ラ・リーガでの本格導入には至らなかった。

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