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「ああ、再開してしまった」「何もできない」リバプール戦で起きた大誤審…審判協会が生々しいVARの音声を公開

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誤審でゴールを取り消されたFWルイス・ディアス

 プレミアリーグで騒動となっているVARの誤審を巡り、審判を統括するプロ審判協会(PGMOL)が試合中の音声を公開した。イギリス『メトロ』が報じている。

 9月30日に行われたプレミアリーグ第7節のトッテナムリバプールで、前半にリバプールFWルイス・ディアスがVARの誤審によるオフサイドで得点を取り消された。

 すでに報道されたところによると、ピッチ上の審判たちがディアスをオフサイドと判定していた一方、VARを担当したダレン・イングランド氏はフィールド上の判定がゴールだったと勘違い。ディアスがオンサイドだったと伝えるために言った「チェック完了」が間違って伝達されてしまったという。

 その後、トッテナムのリスタートで試合が再開されると、VARチームは介入することができなくなった。

 試合は2人の退場者を出したリバプールが1-2で敗北。PGMOLは終了直後に「重大な人為的ミスが発生した」と認める声明を発表したが、リバプール側の怒りは収まらず、この問題を「エスカレートさせ、解決する」ための選択肢を探ると強い言葉で声明を出していた。

 これを受けてPGMOLは3日、同試合のVARの音声を公開。当時の会話内容が以下の通りだ。なお、現場のレフェリーはVARルームからの音声を全て聞いているわけではなく、自分に向けられたコメントだけを聞いている。

副審1:待っている。試合を止めて。
VAR:ディアス、オフサイドの可能性あり。
副審2:止めて。
副審1:オフサイドの確認をしている。
VAR:オフサイドを確認中。ディレイさせて、キックポイント見せてくれ。キックポイントをお願いします。
主審:大丈夫だ。
リプレイ・オペレーター:ではどうぞ。タイトなアングルでお願いします。
VAR:ああ、この後の2フレーム目の2Dラインを用意してくれ。
リプレイ・オペレーター:2フレーム目?
VAR:完璧だ。左の足元に2Dラインだ。
リプレイ・オペレーター:アングルを変える。
VAR:ロメロだと思うが?
リプレイ・オペレーター:この角度の方がいいと思う。この角度でいいか?
主審:ああ。
リプレイ・オペレーター:足元の2Dラインは?
VAR:靴の2Dラインだ。
リプレイ・オペレーター:ああ、わかった。足元の2Dラインだね。
VAR:そこで止めてくれ。チェック完了、チェック完了だ。それでいい、完璧だ。
副審1:プレーさせてくれ。
主審:よくやった。
VAR:ありがとう。
主審:ありがとう。よくやった。
リプレイ・オペレーター:待て、待て、待て。場内判定はオフサイドだった。これでいいのか?
VAR:ああ……。
アシスタントVAR:オフサイド、ゴール……。
アシスタントVAR:それは間違いだ、ダズ。
VAR:え?
リプレイ・オペレーター:場内判定はオフサイドだった。この映像で大丈夫か? ああ、オンサイドだ。私たちが提示した画像はオンサイドだった。
VAR:(聞き取れず)
リプレイ・オペレーター:遅らせてくれ。オーリーが遅らせろと言っている。
VAR:何だって?
リプレイ・オペレーター:オーリーが試合を遅らせろと言っている。判定はオンサイドだ。
VAR:何もできない。
リプレイ・オペレーター:オーリーが遅延させろと言っている。オーリーが遅延させろと言っているんだ。
VAR:オーリー?
第4審:はい?
リプレー・オペレーター:試合を遅らせろ、遅らせろ。試合を止めろ。
VAR:試合は再開された。何もできない
アシスタントVAR:ああ、再開してしまった。
VAR:何もできない。
アシスタントVAR:ああ。
VAR:何もできない。何もできない。

 PGMOLは音声の公開に加え、今回の出来事に関して次のような補足も行っている。

「試合終了後に述べたように、我々は声明で前述の試合中に重大な人為的ミスが発生したことを認めた」

「全てのゴールシーンと同様に、VARチームはゴールのあらゆる側面をチェックした。現場の審判がオフサイドでゴールを無効とした後、チェックが始まり、VARによって正確に実行された。キックポイントの選択は正確で、最後尾の2番目のDFの足元に2Dラインを1本引いたのも正しい位置だった」

「作成された画像は、ディアスが明らかにオンサイドであることを示しており、2本目のラインを入れる必要はなかった。その瞬間、VARは集中力を欠き、フィールド上の判定を見失い、誤って『チェック完了』と伝えてしまった。彼はアシスタントVARとの対話なしにこれを行った」

「試合はすぐに再開された。数秒後、リプレイ・オペレーターとアシスタントVAR、チェックコンプリートの結果をVARに問い合わせ、作成された画像を確認するよう求めた」

「VARチームは、その時点で試合を止めることができるかどうかを検討したが、VARとアシスタントVARは、競技規則内のVARプロトコルがそれを許可しないと結論づけ、プレーが再開されたので介入は不可能と判断した」

 今回の誤審に関与したVARのダレン・イングランド氏とアシスタントVARのダン・クック氏は、すでに週末のプレミアリーグの試合担当から外されることが決まっている。

 PGMOLは今後について「この誤った結果を招いた状況について検証を行い、エラーが発生するリスクを軽減するために研修を実施する予定だ」と表明した。

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ゲキサカ編集部
Text by ゲキサカ編集部

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