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「周りから期待されていた」目の病でプロ選手の夢断たれた17歳オーウェン息子…父と共にした番組制作で気づいたこと

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息子ジェームズとマイケル・オーウェン氏

 イングランドサッカー界のレジェンド、マイケル・オーウェン氏(44)の息子ジェームズが、病によりプロサッカーキャリアをあきらめていた。英『ミラー』が伝えている。

 リバプールやイングランド代表で活躍したオーウェン氏は、レアル・マドリー、ニューカッスル、マンチェスター・ユナイテッド、ストークでプレーを続けた後、2012-13シーズンで現役にピリオドを打った。06年2月に生まれたジェームズは6歳になるまで父のプレーを見届ける。自然と、父親の足跡をたどることを夢見るようになっていたという。

 サッカーを始めると、同年代のなかではトッププレーヤーになる。プロキャリアへの道を進もうとしたジェームズだが、その希望は病気により早々に断たれた。8歳のとき、目の中心部の細部視力に影響を及ぼすスターガルト病と診断され、サッカー選手になることが不可能になった。

「診断されたのが幼少のころで、サッカーを始めたのはその直後だった。だからすべてを覚えているわけではないけど、いつも通りにプレーをしていたよ。そのときはつらかった。だけど、すぐにあきらめたわけではない」

「プレーは続けた。だけどスターガルト病は悪化するから、しばらくしてサッカーでキャリアを積むことができないと思うようになった。サッカーが下手になったとは言わないけど、ほかのみんながうまくなっていった。そういう意味で、プレーする楽しみがなくなってしまったんだ。いまはもうプレーしなくなった」

「周りの人たちは私がフットボールの世界に進むことを期待していた。私は一番になりたかったし、プロになりたかった。だから明らかにイライラしてしまった。今でも仲間たちとサッカーをするのは大好きだ。正直に言えば、戻れるならあと1、2年はプレーしていたけど、当時はイライラしていて少し疲れていた」

 オーウェン氏は、サッカーキャリアの道をあきらめた息子の境遇に理解を示しつつ、自身も苦しい時間を過ごした。「最悪な質問だ。いままで誰かに明かしたことがない」と答えながら、当時の心境を明かした。

「パブで誰かが近づいてきて、息子はプレーしているのかと聞かれると、話題を変えたくなった。それが長年にわたって一番つらかった」

「言い訳をするか、興味がないと言うしかなかった。すべてを説明しないといけなくなる。誰とも話したくなくなってしまう」

「息子がまだ小さくて、いまより目がよく見えていて、ピッチが小さかったとき、息子はとても上手だった。私は父と妻、周りに対して息子にはサッカー選手になるチャンスがあると言っていた。しかし、診断結果が出ると徐々にそういうこともなくなった。息子はそれにうまく対処していたんだ」

 偉大な父を持ち、病に苦しみながら、ジェームズは同年代の子よりも考えることが多かった。「フットボールが不可能になったとき、私はそれに代わるものを見つけたかった」と語る。

 17歳になったジェームズは、オーウェン氏とともにドキュメンタリー番組を作るため、ロービジョンフットサルのイングランド代表チームに帯同した。オーウェン氏は「ジェームズは幸運にもトレーニングでゴールを決められた。しかし、それは非常に高い水準で行われていて、ドキュメンタリー番組制作のなかで本当に驚いたことのひとつだった」と振り返る。そこで知ったことは競技レベルの高さ。ジェームズはサッカーに対する新たな考え方を抱き、そして新たにやりたいことを見つけたという。

「息子が気づいたことは、フットボールは誰にとっても身近なものであるということ。人々が気づいていないことがたくさんあるということ。そして、ジェームズは同じ境遇の人たちのために、その気づいたことを広めたいと願っている」
ゲキサカ編集部
Text by ゲキサカ編集部

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