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代理人のトマス・クロート「香川はどのリーグでもプレーできる選手だ」

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 13年の夏で切れるドルトムントとの契約を延長していないMF香川真司には、今夏に移籍するのではないかという噂が耐えない。その香川の代理人を務めるトマス・クロート氏が「香川はどのリーグでもプレーできる選手だ」とGoal.comのInternational版でコメントしている。

 イングランドのプレミアリーグか、スペインのリーガか、それともブンデスリーガに残るのか。来シーズンの香川の動向を巡って、様々な憶測が流れている。夏の移籍のカギになるであろう代理人のトマス・クロート氏は、どこでプレーするかは言及せずに、彼の高い能力について語っている。

「現在の交渉についてや、どんな可能性があるかは現時点では話せない。ただし、シンジは突出した選手で、どのリーグでもプレーできるだろう」とトマス・クロートは言う。

 この20年間でクロートは、日本とドイツのサッカー界の橋渡しをしてきた。ブンデスリーガの多くのチームは、才能が有り、そして現時点では移籍金の安いJリーグの選手を欲しがっている。なぜ、彼が日本と関わり合うようになったのか。

「最初はドイツから日本に選手を連れて行ったんです。ピエール・リトバルスキ(元市原など)の移籍に携わり、それが私が日本と関わった最初の機会でした。その後、ミカエル・ルンメニゲ(元浦和)、ラインハルト・シュトゥンプ(元仙台)、そしてネディエリコ・ゼリッチ(元京都など)を日本のクラブに移籍させています。何度も通ううちに、02年の頃には日本のサッカーがどれだけすぐれているかに気付きました。そして、FW高原直泰をハンブルクに移籍させました。私がブンデスリーガに移籍させた最初の選手です」

 ドイツで3人目のプロ選手となった高原は、6年間にわたってハンブルク、フランクフルトで6年間にわたってプレーした。彼が06-07年に記録した11ゴールは、つい先日、香川が更新するまで長年にわたり、日本人選手が欧州リーグで1シーズンに挙げた最多ゴール記録となっていた。

 ヨーロッパにおける日本人選手の活躍は、Jリーグ元年から見てきたクロートにとっては、驚きではないと言う。

「周囲の国と比べて、Jリーグのレベルは高いですよ。ただ、運もあったと思います。高原、長谷部誠、そして香川の活躍が、ドイツに渡る選手の流れを加速させました」

 今後、彼は香川のイングランド移籍に関わるかもしれない。それでも彼は、ドイツが最も日本人に向いている移籍先だと感じているという。

「日本人のメンタリティはドイツ人のそれに似ています。だから、ほとんどの日本人はドイツに早く適応できるんです」

 若い日本人選手がドイツを離れて、日本でのタレント不足を起こしている現状について聞かれたクロートは、「そういったこともありますから、日本から過剰に選手を移籍させることに注意をしています。また、すべての日本人選手がブンデスリーガに合うわけではありません」と話した。実際に、20人以上の日本人選手がヨーロッパに移籍している一方で、失敗している選手もいる。DF槙野智章、FW矢野貴章はドイツで成功できず、今冬、日本に戻っている。また、MF宇佐美貴史も7月にG大阪からバイエルンへ期限付き移籍してから、足跡を残すことはできていない。

「移籍は、バザーではないのです。バーゲンの選手をパッと拾うような感覚ではいけません。選手に時間を与えて、違う文化に馴染む猶予を与えないといけません。慎重な対応が必要ですし、相手を理解し、その選手の個性、タレントが合うかも判断しなければいけません」

 さらにクロートはMF清武弘嗣やDF酒井弘樹といった選手が、新たにドイツへ渡るかを聞かれても慎重な姿勢を崩さなかった。

「その話をするのは、まだ早すぎますね。ただし、日本には興味深い選手がいて、彼らの何人かは近い将来、ブンデスリーガでプレーするでしょうね」

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