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[MVP of Predator]チェフがPKストップ、チェルシーを初の欧州王者に導く

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 6月1日に国内発売されるadidasの最新スパイク「プレデター リーサル ゾーン」。選手のボールスキルを最大限に引き出すというコンセプトのもと開発された最新鋭のスパイクを着用した選手の中から、実際の試合で素晴らしいボールスキルを披露した選手をピックアップする連載企画「MVP of Predator」。第2回はチェルシーを初の欧州CL制覇に導いたGKペトル・チェフ選手です。

 ヒーローは、間違いなくこの男だった。チェルシーの守護神、GKペトル・チェフがゴール前に立ちはだかった。ビッグセーブを連発する獅子奮迅の活躍でチェルシーを初の欧州王者に導いた。

 ボール支配率36%対64%。“敵地”での決勝は終始、バイエルンに主導権を握られる苦しい展開だった。しかし、チェフを中心としたチェルシー守備陣は粘り強く耐え続ける。前半21分には至近距離からのFWロッベンのシュートをチェフが鋭い反応で弾いた。

 後半38分に先制を許すも、5分後にFWドログバのゴールで追いつく。「同点に追いついたとき、みんなのことを誇りに思った。あの時間で追いつくことは簡単ではなかったからね」。そう振り返ったチェフが試合の流れを決定づけるビッグプレーを見せたのは、1-1のままもつれ込んだ延長後半5分だ。バイエルンに与えたPK。絶体絶命のピンチもチェフは動じなかった。ロッベンのキックを読み切り、左に飛んで体に当てる。こぼれたボールをしっかり抑え込み、勝ち越しゴールを許さなかった。

 PK戦でもチェフの読みは冴え渡っていた。バイエルンの先攻一人目のDFラームには決められたが、シュートはチェフの手を弾いて決まったものだった。その後も5人全員のキックのコースを読み、4人目のFWオリッチのキックは右手1本でセーブ。バイエルンのキッカーにプレッシャーを与え続けた。

「PK戦では5回とも正しい方向に飛んだ。1回目のキックに触れたとき、少なくとも一度は止められると信じることができた」。5人目のMFシュバインシュタイガーのキックはチェフの手をかすめてポストを直撃。後攻のチェルシーは5人目のドログバが落ち着いて決め、死闘を制した。

「6回のPKすべて正しい方向に飛ぶことができた。そのうちの3回を止めた。いい仕事ができたね」。そう胸を張るチェフが神がかったセーブを連発できた要因の一つに足元の安定感もあった。アディダス社が開発した最新モデル『プレデター リーサル ゾーン』を着用していたチェフは、フィールド選手だけでなく、GKにとってもスパイクが重要な意味を持つと常々語ってきた。

「ゴールセービングにおいても、足元の安定性は重要だ。スパイクが足にちゃんとフィットしたものでないと、いざシュートが来たときに自分の動作、動きを一瞬、失ってしまう。スパイクが足にフィットしていることは非常に重要で、自分が頭で思い描いている動きを100%実現させるスパイクが求められているんだ」

 下半身を支える足元が安定していなければ、たとえ頭では反応していても、体を瞬時に反応させることはできない。読み、反射神経、技術、足元の安定感。一瞬のプレーで勝負が決まるPKにおいて、『プレデター リーサル ゾーン』が果たした役割も大きかった。

「今の気持ちを表現することはできない。とにかく叫んでいたよ。自分がどこにいるかも分からなくなったんだ。何が起きたのか、20秒ぐらい分からなかった。こんなことは人生で初めての経験だったよ」

 苦しんだシーズンも終わってみればFA杯との2冠を達成。初の欧州王者に上り詰め、来季の欧州CL出場権も獲得した。試合翌日の20日に30歳の誕生日を迎えるチェフ。「1日早い誕生日プレゼントを受け取れると信じている」と話していたとおり、20代最後の夜は夢見心地な一晩となった。

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