[8.16 ミズノカップU-18IN熊本2012FINALラウンド 津工6-2熊本国府 大津町運動公園球技場]

　津工(三重)が強豪18校の頂点に立った――。全国の強豪18チームが参加した「ミズノカップ U-18 IN 熊本 2012」は大会最終日の16日、FINALラウンドを行い、1位リーグ最終戦の津工対熊本国府(熊本)戦は津工が後半の4得点など6-2で快勝。静岡学園(静岡)を含めた1位リーグ3チームの総当り戦を1勝1分で制し、初優勝を果たした。

「3点取れるチームをつくりたいと思っている」と藤田一豊監督が話す津工が、“優勝決定戦”となった熊本国府戦を6-2で快勝。指揮官が「アプローチの距離が長くなって、行ききれていなかった。そこを『交わされても寄せ切ろう』ということで徹底して(8月6日～8日の高松フェスティバルで)香川に入った。香川でいい潰しができていたし、良くやっていた」という守備面の修正が効果を発揮し、またU-18日本代表FW溝田光(3年)を中心とした自慢の攻撃陣も5戦18発と破壊力を示してライバルたちを上回った。

　まずは前半3分、MF小池士(3年)がゴール正面左寄りの位置からグラウンダーの右足ミドルをねじ込んで先制。さらに22分にはMF中川正貴(2年)の好守から右サイドのハーフウェーライン付近で溝田がボールを受ける。DF2人が対応したが、主導権は津工の背番号10。柔らかいタッチと相手の逆を取る動きでPAまで侵入すると、最後は右中間から縦に仕掛けて逆サイドのゴールネットへ右足シュートを沈めた。　

　ただ、静岡学園に4-3で勝利するなど強豪から白星を奪ってきた熊本国府は、2点のビハインドを前半のうちに取り返す。まずは25分、右サイドからの大きな展開でボールを受けたMF秋吉浩輔(3年)が、PAでシュート体勢に入ったところをファウルで止められてPK獲得。これを自らゴール右隅へと流しこむと、前半ロスタイムにはPAやや外でセカンドボールを拾ったFW荒木公輝(3年)が強烈な右足シュートをゴール左隅へと突き刺した。

　津工はFW小畑賄人(3年)のスルーパスから溝田の放った左足シュートや、左SB安井智哉主将(3年)のポストを叩く右足シュートなどビッグチャンスをつくりながらも突き放すことができずに2失点。このまま引き分けで終わってしまうとタイトルを逃してしまう。だが安井が「先生から『3点取るまで落ち着くな』と言われている。今回はチームとしてそれができていた。FWが取れていたし、ディフェンスが踏ん張っていた」というチームは後半、内田康太と鎌田大輝(ともに3年)の両CBらの好守からファインゴールを連発してタイトルを勝ち取った。

　7分、右サイドから絶妙なタイミングでDFの背後へ走りこんだ小畑に溝田からのループパスが通る。これを「1点絶対に取りたかった。いいタイミングで動き出せたし、落ち着いて打つことができた」という小畑が右足でゴールを破って3-2。18分には右サイドの小畑からパスを受けた溝田が、ファーストタッチでDFのマークをわずかに外して右足ミドル。弾丸ライナーの一撃は左ポストを叩いてそのままゴールへと吸い込まれた。

　相手に比べて試合間隔が短く、精神面、体力面で失速してしまった熊本国府を津工は容赦なく攻め立てる。26分にも溝田のスルーパスを右サイドで受けたFW高橋昌弘(2年)が巧みなステップワークでDFを外して左足シュートをねじ込む。そして30分にはMF鈴木大登(2年)が溝田とのワンツーで抜け出し、右足シュートで6点目。試合終了間際にMF磯貝誓(2年)の放ったヘディングシュートはポストを叩いたが、それでも新王者は守護神・中北圭祐や努力のSB田中翔梧(ともに3年)ら含めて攻守で強さを発揮して頂点に立った。

　快進撃でタイトルと大きな自信も手にした津工だが、08年の全国総体出場を最後に全国舞台から遠ざかっているチームに気の緩みはない。小畑は「このままの勢いで選手権に入れたら全国へ行けると思う。優勝したけれど、まだ満足せずに強くなりたい」。そして溝田は「優勝した記事を周りも見て注目されると思う。でもそれで潰れるチームじゃない。より強いチーム相手でもやれるようにしたい」と誓った。
　
　目標は今回以上のチームになって全国舞台で強さを発揮すること。津工は各校関係者が「成長するために素晴らしい舞台」と評した「ミズノカップ U-18 IN 熊本 2012」で勝ち取ったタイトルを、昨年度全国準優勝の四日市中央工などが待ち構える選手権三重県予選、そして全国選手権へとつなげる。

[写真]「チャンピオンTシャツ」をまとい、優勝を喜ぶ津工イレブン

(取材・文　吉田太郎)

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