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札幌U-18の逸材MF深井、長期離脱乗り越え勝利貢献

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[9.9 高円宮杯プレミアリーグEAST 浦和ユース1-3札幌U-18 レッズランド]

 逸材MFがピッチで再び躍動し始めている。コンサドーレ札幌U-18のMF深井一希(3年)は昨年のU-17W杯でアンカー役として日本の8強進出に貢献。抜群の守備能力と展開力を兼ね備えたMFはその後、1、2学年上の世代に当たるU-18日本代表へステップアップすると、AFC U-19選手権予選2試合に先発するなど大きな期待が寄せられていた。

 だがその後、所属チームでは左膝(膝蓋骨の部分)の痛みから離脱。高校世代日本一を争う12月のプレミアリーグチャンピオンシップは欠場を余儀なくされ、今年1月から再び復帰を目指したが回復が思わしくなく3月に手術を決断した。骨が若く成長が止まっていなかったこともあり、なかなか手術に踏み切ることができない事情があったが、痛みを抱えながらのプレー、そして離脱と本人にとっては我慢の日々となった。

 ただ深井はこの悔しい経験を力に変えた。「やりたくて仕方なかった。我慢しながらやるのはすごく辛くて。でもその辛い思いを乗り越えた。それ以上に辛いことはないと思うので、これから苦しいこともどんどん乗り越えられると思います」。復帰戦となった8月26日の清水ユース戦は1-2で敗れたものの、その後チームは2連勝。「受け身で入ってしまって前半は相手の勢いに飲まれてしまった。でも後半は逆転できて自分たちの流れでできたと思います。まだまだですけど、(自分も後半は)周りといい距離を保てたので守備の面でいいプレーができた」と振り返った浦和ユース戦の後半は力強い守備で1対1を制するなど存在感を発揮し、攻撃の起点にもなった。

 チームの柱としての自覚を持って、これからプレーで周囲からの信頼を勝ち取る。「守備が持ち味なので1対1と、セカンドボールとか細かい部分もしっかりやっていきたいです」。最大目標はトップチーム昇格。そしてU-20W杯アジア最終予選を控えるU-19代表入りにもチャレンジする。「最終予選まで時間がなくてメンバーも大分決まってきている。正直厳しいと思うんですけど、最後までしっかりあきらめないで食い込めるように頑張っていきたいです」。

 完全復活したとは深井自身も感じていない。スタミナ面はこれからであり、痛みが完全になくなった訳でもない。ただその中でも全力で動き回り、随所で光るプレーを披露。本当に苦しかった日々を経験したからこそ、これからもプレーできる喜びをピッチで全力で表現する。

(取材・文 吉田太郎)

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