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[プリンスリーグ]0-2から大逆転!柏U-18が桐光学園撃破し首位奪取!:関東1部

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[9.22 高円宮杯プリンスリーグ関東1部第14節 桐光学園高2-3柏U-18 しんよこ]

 高円宮杯U-18サッカーリーグ2012 プリンスリーグ関東1部は22日、第14節を行い、神奈川県のしんよこフットボールパークでは首位・桐光学園高(神奈川)と勝ち点1差で2位の柏レイソルU-18(千葉)が激突。FW木村裕(3年)の2ゴールとU-19日本代表CB秋野央樹主将(3年)のPKによって2点ビハインドをひっくり返した柏が3-2で逆転勝ちし、首位へ浮上した。

 期待通りの好ゲームとなった首位攻防戦を制したのは、上手さに力強さの加わった柏だった。今年、日本クラブユース選手権で優勝し、天皇杯2回戦でトップチームと戦う目標も果たしている柏は、立ち上がりからボールを支配。常に数的優位をつくりながらボールを動かすと、ダイレクトの正確な崩しや、右FW吉川修平(3年)、左FW木村がワイドからPAへ斜めに飛び込んでくる動きなどによって桐光学園ディフェンス陣にプレッシャーをかけていく。緩急、アイディアも加えて攻める柏は35分、CB御牧建吾(3年)がディフェンスラインと中盤のラインの間に入り込んだ吉川へ絶妙な楔のパス。これを受けた吉川が左サイドへ流れながら左足シュートを放ち、37分には左サイドから切れ込んだ木村がMF中川寛斗(3年)とのワンツーから右足を振りぬいた。

 桐光学園は吉川に背後を取られかけた場面が何度かあったものの、U-18日本代表DF諸石健太(3年)とDF小松勇樹(3年)の両CB中心に連動した守りを見せて中央に穴を開けない。ボールこそ支配され続けていたものの、前半はほとんど決定機をつくらせなかった。攻撃面でも2年生FW植木隆之輔が相手CB秋野を高さで上回り、FW野路貴之(3年)も前線で奮闘。前線の柱であるFW市森康平(3年)が負傷離脱中でこの日はMF多田八起(3年)も出場停止だったが、カウンターとセットプレーからチャンスをつくり出した。

 そして、辛抱強い戦いを続けた桐光学園がスコアを動かす。前半41分、左サイドで野路の左足シュートのこぼれ球を拾ったMF橋本裕貴(3年)が弾丸ライナーの左足シュート。強烈な一撃は右ポストを叩いてゴールへと吸い込まれた。先制された柏は後半開始から左FW平久将土(3年)を投入し、木村をインサイドハーフへ移行。まず同点を目指すが、思惑に反して桐光学園に再び歓喜が訪れる。

 5分、右中間から持ち込んだMF松井修平(3年)が、ディフェンスラインとGKの間へスルーパス。これに反応した野路がGKをかわして右足で2点目のゴールを流し込んだ。集中力を欠いたか、完全に守備の乱れた柏は痛恨の失点。絶対に勝たなければならない直接対決で2点ビハインドを負ってしまった。

「相手のやりたいことにハマってしまった。(2点ビハインドとなり)自分の心の中では少し折れかけていた」と秋野も明かす展開だったが、柏はわずか1分後に息を吹き返す。右サイド後方の位置で獲得したFKから、秋野がGKとDFの間へ絶妙なキック。徹底してヘディングシュートの練習をしてきたという木村が頭で追撃ゴールを押し込んだ。

 ここからが進化した柏の本領だった。下平隆宏監督も「普段見せないパワーを出せた」と頷いていたが、丁寧にボールを動かしてスペースをつくり出す攻撃に加え、強引にスペースへ割り込んでいく動きが威力を発揮する。天皇杯でトップチームに0-3で敗れて以降、「アタック練習しかしていない」(下平監督)という柏。局面で見せるパワーが向上していたのはもちろんだが、囮となる動き、ボールを呼ぶ声も「(局面局面でパワーを出して)本気でやるからこそ相手も反応する」と指揮官が説明したように、「本気」の力強さ、迫力があり、試合をひっくり返す原動力となった。

 パスワークに加え、後半存在感を増した中川やMF小林祐介(3年)がドリブルで仕掛けるなどゴールへ向かう迫力を増した柏は後半26分、ループパスでPAへ飛び込んだFW川島章示(3年)がファウルで倒されてPKを獲得。これをキッカーの秋野が左足で左隅へ叩き込んだ。

 止まらない柏はさらに33分、右サイドのSB堤勇人(3年)が相手DFの構えるPAの木村へ思い切ったパスをつける。プレッシャーを受けながらもコントロールした木村は左方向への動きでマークを外しながら、強引な左足シュート。これがゴールへと吸い込まれ、決勝点となった。圧倒的な攻撃力を誇る柏だが、これまでならばリスクの高いパスを出すよりもポゼッションをして、攻撃を組み立て直すことを選択していたかもしれない。ただ、9月に入ってからFC東京U-18にシュート2本で完封負けし、トップチームに返り討ちにされたチームはより怖いチームになるための取り組みを始め、それを大一番で結果に表した。

 逆転された桐光学園は42分に右サイドをワンツーで突破したSB大田隼輔(3年)のクロスボールを野路が右足ダイレクトで合わせる。決定的な形だったが柏はGK伊藤俊祐(2年)が好セーブ。終盤には大田のロングスローからゴールへなだれ込もうとしたが、守りきった柏が首位奪取を果たした。秋野は「きょう負けちゃうとプレミア昇格という目標が達成できない。内容より、きょうは結果を出そうと言ってきた。最終的に3点取って勝てたことは良かった。きょう取った勝ち点3も残り4試合で負けてしまうと意味がなくなってしまう。残り4試合も自分たちのサッカーで勝ちたいと思います」。そして決勝点の木村は「勝つだけじゃなく、相手に『レイソル相手じゃ無理だな』と思わせる試合をしたい」。今シーズン、すでにクラブユース選手権優勝と天皇杯でトップチームと対戦するというふたつの目標を果たしている柏の残りの目標は、全国リーグであるプレミアリーグ昇格とJユースカップ優勝。精度という武器を維持しつつ、より怖いチームへ進化する柏が目標全てを達成する。

(取材・文 吉田太郎)
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