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[プリンスリーグ]「上手くて、強い」市立船橋、全国連覇目標も「きょうみたいなゲームでは勝てない」

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[10.13 プリンスリーグ関東1部 市立船橋高0-1山梨学院高 グラスポ]

 市立船橋高にとっては、高校選手権連覇へ向けて課題の残る試合だった。再三決定機をつくりながらも1点を奪うことができずに後半42分の失点で敗戦。攻撃面の迫力不足は八千代にPK戦の末に敗れた総体予選でも敗因のひとつとなっていたが、課題を克服できているとは言い難い。

 主将のCB小出悠太(3年)は「悔しいです。きょうみたいなゲームでは勝てない。決定力が課題ですけど、最後やられたのは自分たちの責任。最後、ディフェンスラインは集中力を切らさないこと。最後の1本のパスだったり、本気で合わせることができればもっと良くなる。一日一日積み重ねていきたい」と誓った。

 昨年度の日本一メンバーを残す守備陣は間違いなく堅い。それだけに連覇のカギを握るのは攻撃面となりそうだ。圧倒的なキープ力を持つU-17日本代表FW石田雅俊(2年)や10番MF渡辺健斗(3年)ら攻撃力は昨年以上。ポゼッションで主導権を握り、MF宮川泰来(3年)らが相手の背後を一発でとってゴールを陥れる破壊力もある。ただ、ゴールをがむしゃらにもぎ取るような姿勢について、コーチングスタッフは物足りなさを感じている。朝岡隆蔵監督は「(10年に)総体で優勝したチームや昨年は苦しい中で試合の主導権も取られるけど、勝負どころは外さないチームだった。今年はよりポゼッションできたり、上手くいっていることが甘さになっている」と分析する。

 後半42分に先制されたあとも、クロスに誰かひとりでも身体を投げ出せば、「何か」が起きそうな場面もあった。何度もPAまでボールを進め、跳ね返すしかできない状態だった山梨学院ゴールをこじ開けるチャンスはあった。だがそこで迫力を持ってゴールへ押し込むことができなかった。小出は「気迫を持つこと。最終的には気持ちの強い方が勝つと思います。練習から突き詰めていきたい」。

 危機感を感じているのか、昨年の選手権優勝を知る小出やCB種岡岐将(3年)が意を決したかのように前線へ攻め上がる場面があった。攻撃陣は結果を残して信頼を勝ち取るしかない。昨年度の高校選手権決勝では試合終了間際の同点ゴールで追いつき、延長戦で勝利と“市船魂”で日本一を勝ち取った市立船橋。「上手くて、強い」今年の市立船橋が、この日の敗戦から逞しく変わったところを選手権で見せつける。

(取材・文 吉田太郎)

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