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[プレミアリーグ チャンピオンシップ]「ゴリさんをいい形で送り出すことができるのは自分たちしかいない」3連覇達成の広島ユースが退任の指揮官を笑顔の胴上げ

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高円宮杯U-18サッカーリーグ2012プレミアリーグチャンピオンシップ
[12.16 プレミアリーグチャンピオンシップ 東京Vユース1-4広島ユース 埼玉]

 高円宮杯3連覇を果たしたサンフレッチェ広島ユースの森山佳郎監督がサンフレッチェカラーの紫色に染まったスタンドの前で宙を舞った。まだ公式発表されていないものの、指揮官は今季限りでの退任をすでに認めている。その中で選手たちは「ゴリさん(森山監督)を胴上げする」と誓って今大会に臨んでいた。そして宣言通りに優勝。試合直後のインタビューで「(ベンチ外の選手も)誰一人やる気なくしたり、集中しないヤツはいなかった。この試合に懸けていた」と選手たちをたたえた指揮官は「オマエら最高やぞ!」と絶叫し、最高の笑顔を見せていた。

 02年の広島ユース監督就任以降、DF槙野智章やMF柏木陽介(ともに現浦和)、MF高萩洋次郎、DF森脇良太(ともに現広島)らを育てた森山監督。現在ユースチームに所属している選手たちも情熱的な指導をする森山監督、コーチ陣への信頼は非常に厚い。ただ、今月上旬に森山監督はミーティングで退任の意向を選手たちに伝えた。主将のMF平田惇(3年)は「正直聞いたときは、自分たちも頭の中で理解できずによく分からなくて、話している中で3年が卒業するとともにゴリさんもチームの監督を辞めるというのを理解した時に涙が出た。でも、自分たちが最後の送り出す学年で、最後ゴリさんをいい形で送り出すことができるのは自分たちしかいない。今までゴリさんに教わってきた先輩たちや今の1、2年生のためにも、最高の形で終わりたいなと。一日一日の練習を大切にするとか、残りの大会2つ取るという、チームとしての堅い思いを持った」。

 広島ユースは今季限りで山崎真コーチの退任も決定している。10年間指揮を執った指揮官がチームを去ることで来季へ向けた不安もある。ただ、指導陣が代わっても広島ユースの3年生が強烈なパーソナリティーでチームを引っ張る姿勢やチームの魂は変わらないと平田は言う。「正直、(指導体制が代われば)多少の戸惑いだったりというのはあると思うんですけど、選手が(森山監督や先輩たちから)受け継いでいるものは変わらない。そういう部分は(自分たちを見てきた)後輩たちが体現してくれると思う。ゴリさんが代わるというのは本当に大きいと思いますけれども、そこをカバーするだけの伝統を選手たちは感じていると思う。自分たちがやるという気持ちを一人ひとり持っていると思うので、どんな環境でも広島ユースは広島ユースの力が出せると思います」と伝統を受け継ぐ後輩たちに信頼を寄せていた。 
 この日指揮官を胴上げをした選手たちだが、準決勝進出を決めているJユースカップ優勝も彼らの「使命」。2冠を達成することで1、2年生たちも自信を持って新シーズンに臨むことができるはずだ。第一関門は突破した。あと2勝。必ず成し遂げて、笑顔で指揮官を送り出す。

(取材・文 吉田太郎)

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