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1年生先発9人で東京Vユースに大健闘、町田ユースは今後に繋がる試合に:東京クラブユースU-17選手権

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[2.3 東京都クラブユースU-17選手権2次予選リーグ 東京Vユース1-0町田ユース ヴェルディG]

 ポテンシャルの高さと課題の両面を出した東京Vユースに対し、町田ゼルビアユースは昨年のプレミアリーグEAST優勝の強豪に力を引き出される形で好ゲームを演じた。特に大きかったのは守備の健闘。個々の能力が高い東京Vに対して厳しいチェックで少しでも自由を奪おうとし、振り切られそうになっても最後まで身体を寄せ、足を伸ばしてコースを限定しようとする。またルーズボールでも素早い反応でピンチの芽を摘んでいた。立ち上がりは相手の迫力に完全に押し込まれてボールをかき出すのがやっとという展開だったが、2点目を奪われずに徐々に自信を掴んだチームは攻撃面でも相手を苦しめる。

 小柄だが技術が高く、わずかなスペースを見つけてボールを運ぶなど中盤で存在感を放ったMF橋本拓哉(1年)にFW辻川樹(2年)らが絡み、敵陣へとボールを進めていく。前半は速攻中心だったが、より自信を持って戦っていた後半はディフェンスラインからしっかりとボールをつなぐ時間帯も見られた。そしてミスの増えた相手から高い位置でボールを奪うと、前線のスピードを活かした攻撃で決定機をつくり出したほか、連動した崩しでも東京Vを苦しめた。相手GK長谷川洸(2年)のビッグセーブに阻まれて最後まで1点を奪うことはできなかったが、昨年は日本クラブユースサッカー選手権関東1次予選リーグで街クラブの杉並FC、リオFCに敗れて1勝のみ、Jユースカップ予選リーグでは3戦全敗だったチームがサポーターの声援の中、最後まで期待を抱かせる戦いを演じた。

 それも1年生9人が先発する中での健闘。前・東京Vユース監督でもある楠瀬直木監督は昨年1-6で敗れた相手との差を縮めた結果について「こちらはヴェルディが力を引き出してくれてそこ(のレベル)。ヴェルディは『おかしいな、おかしいな、こんな風じゃないのに』となってあそこ(のレベル)だから差はありますよ」と話しながらも「ボールの動かし方、顔の出し方とか丁寧にやっていたと思う。0-1だったし、内容的にも集中力が高かったし、後半はこっちもボールを持っていた。個々も向こうの方が上手であることを考えると悪くはない。ゼルビアの教えの中ではひたむきに頑張って、技術は難しいことをやるのではなくて、動いて、頭を働かせて。そういうことをちゃんとやっていたから食らいついていけた。今のゼルビアではあるべき姿でサッカーを身の丈ではやってくれたかなと思います」と評価した。

 FCトリプレッタユースとの初戦では押し込まれた相手を跳ね返すことができず0-5で敗戦。この日健闘したといってもすぐに実力がついた訳ではない。健闘を自信にまた日々の練習をしっかりと続けること。トップチームに選手を送り出すという育成組織の役割を果たすことにこだわりながら、町田はよりライバルたちと戦える選手・チームになることを目指す。

[写真]後半3分、町田はFW辻川が決定的なシュートも相手GKの好守に阻まれる

(取材・文 吉田太郎)

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