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スカウト注目の超大型FWアンドレ擁する川口北が熊谷下す:埼玉新人戦

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[2.9 埼玉県新人大会1回戦 熊谷0-1川口北 西武台G]

 平成24年度埼玉県高校サッカー新人大会は9日、決勝トーナメント1回戦を行い、川口北が熊谷に1-0で勝利。昨秋の選手権県予選に続く8強入りを果たした。

 194.5cmの超大型FWアゲセ・アンドレ健太郎(2年)を擁する公立校の雄だ。川口北は左SB高橋直斗(2年)のロングスローなど前線のハイタワーを活かしたつつ、MF大隈拓郎、MF越後宗人(ともに1年)ら足技巧みな技巧派のドリブル突破などでボールを運んでチャンスを作り出す。前半21分には左サイドからDF橋本將平主将(2年)が出したスルーパスを大外から走りこんだCB山下達也(2年)が右足で押し込んで先制。その後も縦パスからFW田口悠貴(1年)が決定的な右足シュートを放ち、後半15分にも高橋の正確なキックから山下が決定機を迎えるなど攻め続けた。

 縦へのスピードやSBの攻撃参加などから攻める熊谷にチャンスをつくられる場面もあったものの、無得点に封じた川口北は後半15分、左サイドを突いたFW伊藤悠太(2年)の折り返しがDFのハンドを誘ってPKを獲得。だが、キッカーを務めたアンドレの右足シュートはクロスバーを叩いて追加点を奪うことができない。その後も決定機を活かせなかった。それでもボール奪取に長けたMF福山海斗(1年)や橋本らの好守もあり、無失点で8強進出を決めた。

 現役時代、浦和南(埼玉)の一員として全国高校選手権優勝を経験している森田洋正監督が「全国へ行けるかどうかはアンドレ次第」と期待する存在が、ナイジェリア人の父を持つアンドレだ。中央新人大会ではJリーグや大学のスカウトも訪れていたという注目株。チームメートと比べて頭ひとつ抜きん出た高さが注目ポイントだが、「昔からサッカー自体が好きだったので、遊んでいたら結構良くなった」と足下も“意外”に柔らかい。ボールに絡む回数は決して多くなかったが、ダイレクトでサイドへ展開し、ポスト役を正確にこなすなど、攻撃の起点となっていた。

 “川北のイブラヒモビッチ”になる。憧れの存在はFWズラタン・イブラヒモビッチ(パリSG)だ。「あのサイズでいろいろなことができる。今はまだ憧れなので、これを目標に変えられるくらい頑張っていきたい」と誓う。小学生時代はサッカーをしていたが、中学校に進学する際に陸上へ転向。「世界陸上があって、面白そうだなと陸上をやっていた。走るのとか砲丸(投げ)とかやっていました。でもサッカーの方が面白いなと。もっと本気でスポーツをやりたいと思った」と中学2年時にサッカーへ再転向した。ブランクがあり、また「スタミナが課題なので、自分を出し切れない。気持ちがまだ頑張りきれないというか、もっとメンタルのところを鍛えていかないとチームの役に立てないと思う」と向上させなければならない点はまだまだある。

 それでも期待に応えたいという気持ちを強く持っている。「自覚はあるんですけど、頑張らないと通用しないと思った。まだ2月なので1日1日を大切に、監督の期待に応えられるように頑張りたい。去年ほど点が取れていない。去年で言うと先輩が頑張った中で、自分が決めることができていた。もっと自分が頑張った中でも点を決めてチームを勝利へ導きたいと思う」と意気込んだ。

 唯一1年時から出場している橋本主将が「今の代が気持ちの強さは一番だと思う。(特長が)違うのは高さだと思うので、自分たちはサイドを使ってデカいアンドレにいかにヘディングさせるか、点を決めさせるか」という川口北。準々決勝で越谷西にPK戦の末に敗れたが、関東大会、全国総体予選では武器を最大限に活用して埼玉を突破する。

[写真]川口北は超大型FWアンドレ中心に上位進出を目指す

(取材・文 吉田太郎)

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