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[マリノスカップ]プレミア昇格を目指す前橋育英がプレミア勢・桐光学園との撃ち合い制す

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[3.26 マリノスカップ 前橋育英4-3桐光学園 小机]

 26日、第5回横浜F・マリノスカップU-17(TOGETHER TO THE FUTURE)が開幕。「みらいリーグ」の第1戦、前橋育英高(群馬)対桐光学園高(神奈川)戦は前橋育英がFW上田竜哉の2ゴールなどによって4-3で逆転勝ちした。

 山田耕介監督が「昨年よりも今の段階ではいいかなと思う」という“上州の虎”前橋育英がプレミアリーグ勢・桐光学園とのを撃ち合いを制した。プリンスリーグ関東1部開幕を約2週間後に控えての一戦。主将のDF樋口慎太郎を負傷で欠き、またMF鈴木徳真とMF渡邊凌磨のU-17日本代表コンビが不在だった前橋育英だが、前半14分に左サイドからのパスを10番FW小口大司が落とし、上田竜がゴールへ沈めて先制する。

 だが、桐光学園は攻撃参加した右SB関根陸らによる連動性の高いサイド攻撃や、左SB杉本大斗の高精度の左足キックから反撃。そしてFW植木隆之輔が最前線でボールをおさめたほか、シャドーのMF加藤寛明や右MF池田友樹、左MF有馬侑希の両ワイドが機動力と個人技を発揮して逆転する。まずは17分、中央から鋭いドリブルで持ち上がった有馬が左サイドへ展開すると、植木の折り返しをPAへ飛び込んだ有馬が右足で決めて同点。さらに26分には右サイドをえぐったMF大竹徳幸のラストパスをGKが弾き、これに詰めていた加藤が右足で沈めて2-1とした。
  
 MF佐藤祐太とMF林洋毅を軸にピッチを非常に広く使って攻める前橋育英だが、桐光学園の守備を切り崩すまでには至らない。それでも積極的なドリブル突破を繰り返していたMF上田慧亮や小口のドリブル、佐藤祐の強烈な左足ミドルで徐々にゴールへ迫ると32分だ。佐藤祐からのパスを受けた上田竜がGKの頭上を射抜く右足シュートを決めて同点に追いついた。

「ダメなところがいっぱいありますよね。間延びしちゃってどちらもスカスカだった」と山田監督が評していたが、後半もアタッカーたちが目立つ展開に。後半開始から3選手を入れ替えた前橋育英は開始直後にSB香川一喜の右クロスから小口が右足ダイレクトシュート。5分には敵陣でのインターセプトから中央でボールを受けた小口が対面のDFをわずかに外して左足を振りぬく。対する桐光学園は18分にカウンターから、この日最も脅威となっていた加藤が左サイドをえぐって中央へ折り返し、池田が決定機を迎えた。このほか、下り目の位置から攻撃を組み立てるMF蔭山裕之や池田を中心としたポゼッションから攻めていく。

 ただ後半、多くの時間帯でボールを支配していたのは前橋育英の方。キーマンであるMF廣瀬慧が「先輩たちには申し訳ないですけど、チームの雰囲気も結構、去年よりも増していると思う。(技術面でも)みんなポゼッションや、ワンタッチ、ツータッチで回すのが上手い」という前橋育英が正確なパスワークに、上田慧のドリブルやSBのオーバーラップをアクセントに試合の流れを傾ける。22分、右クロスが流れたものの、逆サイドでDFのマークを外した上田慧のクロスを香川が頭でプッシュして勝ち越した。

 さらにボールを支配して攻め続けた前橋育英は決定機を連発。小口や上田慧の決定的なヘッドは得点に結びつかなかったものの45分、かかとのケガから復帰4日目の交代出場・廣瀬が右サイドを攻略してクロスボールを上げると、同じく交代出場のFW坂居駿が右足ダイレクトボレーで叩きこんで2点差とした。桐光学園は47分に左ロングスローから植木が1点を返したものの、反撃は1点のみで前橋育英が勝利した。

 この日はコンパクトな守備ができずに苦戦したが、前橋育英は昨年度の高校選手権で先発を経験した6人や年代別代表組など充実の陣容だ。全国高校総体、全国高校選手権での優勝が目標。またプレミアリーグ昇格への意識も非常に高い。昨年は激戦区・プリンスリーグ関東1部で6位。Jクラブユースチームなど強豪ひしめくリーグでの優勝は困難だが、レギュレーションの変わった今年はプリンスリーグ関東1部から3チームがプレミアリーグ参入戦に参戦する。プレミアリーグ昇格への可能性が広がった。それだけに上田慧は「1年生の時からずっと話していたんですけど、優勝狙ってやっていかなきゃ意味がないと言っていた。狙えないチームじゃないと思うので、1コ下の後輩にプレミアリーグでやってもらいたいなと思います」。目標のひとつであるプレミアリーグのチームを撃破した前橋育英は、この勝利を自信にプリンスリーグ開幕戦(対横浜FMユース)から勝ち点を重ねる。

[写真]後半45分、前橋育英FW坂居が右足ボレーを叩きこむ

(取材・文 吉田太郎)

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