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[プレミアリーグEAST]技巧派並ぶ青森山田は決定力欠き、ドロー発進

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[4.7 プレミアリーグEAST第1節 三菱養和SCユース0-0青森山田高 養和巣鴨]

「後ろはよくやったと思うけれど、前が不甲斐ない。決定機があったのに関わらず、決め切れないのもそう。ああいう場面で決めていかなかったら、こういうゲームは勝てない」。青森山田高(青森)の黒田剛監督は0-0で終えたプレミアリーグEAST開幕戦、三菱養和SCユース(東京)との試合後、前線の決定力と迫力不足を指摘していた。

 小柄で技術の高い選手の多い今年は4-3-3システムを採用。昨年までの縦に速い攻撃から今年は足元で勝負するチームとなっている。この日は前線でFW李相赫(3年)がボールをおさめ、MF山田武典主将や10番MF石井光(ともに3年)ら2人、3人が絡む攻撃で局面を切り崩すなどチャンスをつくった。FW辛島昌幸が鋭いターンでDFを外してゴールへ迫り、MF村山想(ともに3年)が縦への仕掛けからシュートへ持ち込むなど、個人技も光った。ただ、敵陣へ押し込み、ゴール前のこぼれ球などビッグチャンスがありながらも無得点。開幕から3試合連続で引き分けた昨年に続き、引き分け発進となった。それだけに黒田監督は「0-0で拮抗した試合で1点取れるFWが必要。(選手権で)国立へ行ったときは野間(涼太、現明治大)というひとりでいける選手がいた。今年はまだ乏しい。前3枚を後半、全部入れ替えたけれど、その中から勝ち残ったヤツを使っていきたいと思う」とハッパをかけていた。

 11年U-17W杯日本代表のSB室屋成(現明治大)ら主力が卒業。指揮官が「去年のプレミアでスタメンで出たのは1人だけ。10枚代わっているから、経験値というのはこれから積まなければならない」というように経験面を含めてチームを構築している最中だ。毎年、冬場は雪のため、ボールを蹴ることのできないストレスがある。ただでさえ、プレミアリーグで戦うライバルたちと比べると、チーム作りは遅れてしまう。そして青森から関東、静岡への長距離移動の連続。過酷な状況は今年も変わりないが、それでも昨年は4位に食い込むなど毎年公式戦で結果を残し、好選手を輩出しているチームには今年も期待が高まる。正確な左足を持つ山田に加えて、高校選手権で力強いプレーを見せたCB八戸雄太、抜群のフィジカルを持つSB中島優(ともに3年)らポイントとなる選手がおり、いきなりの抜擢はなさそうだが、1年生には青森山田中で全国中学校大会を制した選手たちも入学してきた。今年も確実に全国上位へ食い込むチームになってくるだろう。

 頂点を勝ち取るためには拮抗した試合をどれだけ勝ち切ることができるか。引き分けた開幕戦について「去年も開幕から3回くらい引き分けているので、自分たちはしっかりとスタートダッシュを切ろうと話していたんですけど、引き分けになってしまって不甲斐なさを感じている。次の試合は勝とうという意識でいます」と語った山田は、「シュートの精度だったり、そこに行くまでの形だったりが、まだ完全につくり切れていない。つくっている段階なんですけど、そういう中でも何回か1対1とかチャンスはあった。それはこれから点になるようにしっかりと詰めていきたいです」と誓った。

 優勝候補筆頭に挙げられていた高校選手権では初戦で野洲(滋賀)と死闘を演じ、疲労が蓄積するなか、けが人も出て不運な16強敗退。経験者のひとりでもある山田は「優勝する力はあったと思います。メンバーもいましたし、でも勝ち切れなかったのは選手権特有の難しさがあったと思う。自分は経験できたので、今年はしっかり勝ち切れるチームにしたいです」。まずはチームづくりを進めて、課題を克服すること。そして自分たちのスタイルを突き詰める。北の雄は今年もライバルたちにとって強大な壁となる。

[写真]CB八戸(右)ら守備陣は無失点も、青森山田はドロー発進に

(取材・文 吉田太郎)
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