beacon

インターハイ注目校・新潟明訓、2年前の“明訓旋風”再び!

このエントリーをはてなブックマークに追加

 夏の高校日本一を決める平成25年度全国高校総体「2013 未来をつなぐ 北部九州総体」サッカー競技が、8月1日から7日まで福岡県のレベルファイブスタジアムなどで開催される。過去5大会で8チームが初の決勝進出を果たすなど、予想のつかない混戦が続いている夏の日本一決定戦。今大会の注目校のひとつが新潟県代表の新潟明訓だ。

 新潟明訓は2年前の11年大会初戦で東京都第1代表・東久留米総合を撃破。それまで全国総体では12年連続初戦敗退していた新潟県勢の不名誉な記録をストップすると、3回戦ではDF植田直通(現鹿島)らを擁したV候補、大津(熊本)を2-1で撃破して初のベスト8へ進出した。スタンドの大声援と田中健二監督の「ボールを奪ったら、勇気を持って60m走りなさい」「オマエたちならやれる」というメッセージの後押しを受けて強豪を破るなど大躍進を果たした夏。その快進撃をスタンドで見ていた1年生たちが今年、3年生となって2年ぶりの全国大会出場を決めた。

 期待されるのは2年前のチーム越え。左SB渡邊匡介(3年)が「全国という舞台で結果を残して勝ちたい。2年前に全国の強豪と言われるところに先輩方が勝っていく姿を見て、自分もこうなりたいと思いました」と語り、左MF大矢純輝(3年)が「一昨年はベスト8という結果だったので、それを越えたいというのがまずひとつある。全国大会は個人個人が大事だと思うので、どんどんチャレンジして行きたい。チームの最終目標は全国制覇。それを目指してやっていきたいです」と力を込めたように選手たちも、歴史を塗り替えることを目指している。

 今シーズン開幕戦で9人が先発したという有望1年生たちが4月に加わり、チームとしての厚みが増したが、壁を越えることは簡単ではない。それでも県大会通じて1失点の堅守と練習から磨いてきた基本技術と対応力の高さがチームに期待を抱かせる。ライバルたちは各校スタイルが違う。自分たちとかみ合わない試合もあれば、相手の実力の高さに圧倒される試合もあるかもしれない。ただそれに対向するだけの準備はできている。例えばつなぎの部分で上回られ、リードされたとしても、そこであきらめるのではなく、どう活路を見出すのか。田中監督は「『自分たちのサッカーができなかった』で終わらせたくない。せっかく70分あるんですから。次の試合で解決するのではなくて、ナマの時間でどれだけ解決させて、有利に変えて、逆転させられるか」。その術を選手・ベンチが見つけて流れとスコアを変える。

 大きなサッカーもできれば、小さなサッカーもできる。ひとつのスタイルにこだわることなく、チームは強化されてきた。指揮官は「裏取れるのに、つなぐようなサッカーはしたくないんですよ。常に攻撃も、守備も優先順位を間違えたサッカーをしたくない。そうしないといろいろなサッカーに対応できない。将来のことも考えたらいろいろなサッカーができなくてはいけない」と説明する。

 現在はそれぞれの戦い方が全国を戦う武器となりつつある。北信越総体では全国区の強豪相手につなぐサッカーを徹底。相手をポゼッションで上回り、そのレベルの高さを披露した。一方、新潟県予選では割り切って“蹴るサッカー”で頂点に。「“汚い戦い方”と言われればそれまでですけど、意図的にできればボクらのサッカーだと思う」(田中監督)とロングボールで守備ラインを押し下げ、意図的に相手の一人ひとりの距離感を広げさせてその攻撃についても遮断した。高校世代では浮き球を完ぺきに処理できるCBが少ない。そのことを利用して、中途半端にクリアされたボールに人数をかけてプッシュ。加えて、前線からのチェイシング、また自陣でのブロックの構築と相手、展開、時間帯で使い分けることのできる守備が相手に特長を出させなかった。右SB星野雄大(3年)は「相手のトラップの軸足を見て奪ったり、判断は意識しています。サイドハーフを動かすこと、ダイアゴナルランをしてくる相手をつかまえること、キックも大事になるので、引っ掛けたりしないように意識しています」。相手に差をつけるための意識は、細部にまで及んでいる印象だ。

 新潟明訓は学校の敷地内に人工芝グラウンドを保有するが、雪国という土地柄、他の地域に比べて厳しい環境だ。それでも活用することが多いというフットサルで連続した動き、攻守の切り替えの速さを身に着けてきた。また「サッカーしかやっていない子たちは限界に来ると自分は思っている」という田中監督独自のアイディアで野球やゴルフも練習・イメージ向上に取り入れ、野球の外野手がバック・ホームする際の空間認知や、より強くインパクトするために野球・ゴルフでボールを打つ際に最後までボールから目を離さない点に注目。これらを意識させてヘディングやキックなどの基本動作向上へつなげる取り組みも行われている。

 すべては個々の成長、そして全国の強豪との距離を少しでも縮めるため。指揮官はスパイク選びの重要性についても口にする。練習取材日はadidas JAPANのスタッフによる「正しいスパイクの選び方講習会」が行われ、「ジャストフィットのスパイクを選ぶこと」「正しい位置で屈曲しているスパイクを選ぶこと」「より自分のプレースタイルに合った靴紐の結び方をすること」についての説明がされていた。それについて田中監督は「(選手たちはスパイクについて)合わないものを合うと言いますし、合うものを合わないと言う。それ靴紐の結び方の問題じゃないの、と思ったりします。あと、緩いことが好きな子が増えている。履いているスパイクを見ていても明らかにデカイ。何に合わせているか分からない時もある。だから、そういうところは自分のスパイクで明らかにパフォーマンスが落ちていることが分かりますし、それについては自分もすぐに指摘します。スタッドの長さについてもデリケートでなければいけない。(この日のように)選び方とか聞くとあの子たちも変わると思います」と感謝していた。

 強くなるために、個々がよりよいパフォーマンスをするために足元にも注力する新潟明訓。全国舞台ではadidas社製のフットボールスパイク、「nitrocharge」「predator lethal zones」「adipure 11 pro」「adizero F50」の4シリーズが目標達成への武器となる。圧倒的な運動量と球際のハードな攻防でゲームをリードする”エンジンプレイヤー”のために開発された「nitrocharge」、走攻守すべてのプレーでチームに貢献する“バランサー”をサポートする一足「adipure 11 pro」、あらゆるボールスキルを追求する“ボールマスター” に向けた「predator lethal zones」、そして日本代表MF香川真司が「新しいモデルは、スピードに乗った状態でボールをコントロールしやすくなっています」と絶賛する超高速スパイク「adizero F50」。CB住岡優作(3年)が「(大会まで)まだ、これから1か月くらいある。1か月しかないと思うのか、1か月もあると思うのか、そこはポジティブに考えて残りの期間でチームとしても、個人としても成長していけたらと思います」と語ったように成長へ貪欲な選手たちは、自分の武器を引き出すスパイクとともに全国への準備を進める。そしてCB島本光希主将(3年)は「チームとして毎年、全国制覇という目標を持っているのでそこに近づけたらいい。全員が献身的な守備をやるところと、ダイナミックな縦に速い攻撃とつなぐところの使い分けを注目して見てほしい」。“明訓旋風”再び――。多彩な武器を持つ彼らがこの4シリーズとともに全国で勝つ。

★関連ニュースはアディダス マガジンでチェック

(取材・文 吉田太郎)

TOP