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[プレミアリーグEAST]流経大柏の初優勝が“確実”に!2位と勝ち点3差、得失点23差で最終節へ

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[12.1 高円宮杯プレミアリーグEAST第17節 鹿島ユース1-1流通経済大柏 カシマスタジアム]

 高校年代最高峰のリーグ戦、高円宮杯U-18サッカーリーグ2013プレミアリーグEASTは1日、第17節を行い、首位の流通経済大柏高(千葉)は鹿島アントラーズユース(茨城)と1-1でドロー。流経大柏は残り1試合で2位・清水エスパルスユース(静岡)との勝ち点差を3、得失点差を23とし、初優勝をほぼ確実なものにした。

 鹿島の最終ラインから放り込んでくるロングボールと高さ、安定したセカンドボールの獲得によって、流経大柏はリズムを崩し、本来のパスサッカーを展開できたとは言い難い。それでも最低限の試合をして優勝をほぼ決定づけたという意味では価値のある勝ち点1獲得だった。

 プレミアリーグと同様に日本一を目指した高校選手権で流経大柏は、全国高校総体決勝の再戦となった市立船橋との千葉県予選決勝(11月17日)を0-1で落として敗退。選手権日本一という夢は全国大会を前に儚く散った。選手権敗退のショックもあってか、先週再開したプレミアリーグの静岡学園戦は引き分けにこそ持ち込んだものの、一時2点リードされるなど納得のいく内容ではなかった。主将のU-18日本代表候補SB石田和希(3年)は「いかに自分たちにとって選手権が大きいものか。自分もそうでしたけれど、言葉以上に、心に穴が開いたというか、何も考えられないような状況だった。練習にも身が入らないという状態が一週間続きました。みんなで話し合った時に『チャンピオンシップがあるのになんで下を向いているんだ』という声もあれば、『なかなか気持ちを整理できない』という、いろいろなヤツがいたので、それをまとめるのがすごく難しかった」と振り返る。

 ただ、アルビレックス新潟内定のMF小泉慶(3年)が「選手権負けて、日本一獲るチャンスはもうここしかない。プレミアへ切り替えて練習から声を出してきた。もちろん、まだ市船戦から切り替えられていないヤツも絶対にいるし、個人的にもまだ悔しい思いが蘇る。でも、ここでプレミア獲らないと絶対に後悔するので、このアントラーズ戦で決めようと思っていた」と語ったように、選手たちはプレミアリーグEAST優勝へ集中して鹿島戦を迎えていた。

 現在8位で残留を決めたい鹿島とのアウェー戦。先に決定機を作り出したのは流経大柏だった。前半7分、左サイドの石田がグラウンダーのボールを中央のFW森永卓(3年)へ入れると、森永がダイレクトで左オープンスペースへ展開。抜け出した全国高校総体得点王FW立花歩夢(3年)が一気にGKと1対1になった。本田裕一郎監督が「あればっかり練習していたんですよ、今週」というように、流経大柏はボランチとトップの間に顔を出す森永を攻撃の起点に攻めていく。

 対する鹿島は球際での強さと高さを見せたCB町田浩樹(1年)とCB堀之内航平(3年)、そしてセカンドボールを拾い続けたMF川上盛司(3年)がシンプルに前線へボールを入れて攻撃をスタート。身体の強さを発揮したFW鈴木優磨(2年)やMF大竹蓮(3年)がサイドを破って決定的なクロスを配球するなど首位チームを苦しめる。

 流経大柏は相手のプレッシャーの前にDFラインから蹴ってしまうシーンが多く、“空中戦”が増えた展開では小泉とMF西槙翼(3年)のダブルボランチを中心としたパスワークも、MF青木亮太とMF秋山陽介(共に3年)の突破力もなかなか活かすことができなかった。それでも前半は立花の瞬発力と森永の技術の高さ、そして右SB今津佑太(3年)のスピード溢れるオーバーラップを活かしてチャンスをつくる。30分にはオフサイドでノーゴールとなったものの、森永のスルーパスから右サイドを抜け出した青木が折り返し、中央でフリーの立花が合わせる。43分にも再び森永のスルーパスから右サイドを駆け上がった今津のラストパスをファーサイドでフリーの立花が決定的なシュート。そして迎えた44分には左スローインから立花が抜群のスピードで抜け出すと、最後はそのラストパスを青木が右足で押し込んで先制点を奪った。

 流経大柏は後半18分にもタイミングのいいオーバーラップから今津が決定的なラストパス。だが森永の左足シュートが枠をわずかに外れると逆に19分、ワンチャンスをものにされて同点に追いつかれてしまう。鹿島は右サイドのMF平戸太貴(1年)からのパスを受けたMF大橋尚志(2年)が前方のDFをわずかにズラしてから右足シュート。これがゴール左隅へ決まって1-1となった。

 流経大柏は30分に交代出場のFWジャーメイン良(3年)が放った決定的な左足ループがゴール右外へ。終盤は石田をボランチへ上げて攻撃にアクセントを加えると、両サイドからのクロスなど強引に1点をもぎ取ろうとする。そして40分には中央で鮮やかに3人をかわした石田が決定的な左足シュート。GKに弾かれたボールに交代出場のMF上田将寛(3年)が頭から飛び込んだが、触ることができずに最大の勝ち越し機を活かすことができなかった。それでも本田監督は「引き分けで良かった」と勝ち点を伸ばしたことについて納得の表情。もちろん勝ちきれなかったことについて満足している選手はいなかったが、選手権予選敗退からメンタル的に厳しい状態が続いていたイレブンはどこか肩の荷が降りたような表情を見せていた。

 数字的には清水にも逆転Vの可能性が残っているだけに気を緩めることなく最終節(12月8日、対桐光学園)に臨み、その後はプレミアリーグWEST優勝チームと戦うチャンピオンシップ(12月15日、埼玉)で勝って日本一を獲るしかない。石田は「EAST優勝はほぼ決まったけれど、チャンピオンシップで勝つことが自分たちの目標。最後日本一を取って終わる。高体連でもチャンピオンになれるんだというところを見てるお客さんだったり、関係者だったり、選手だったりに見せつけたいと思います」と力を込め、青木も「埼玉で流経のつなぐサッカー見せたいですね。最後、流経で3年間やってきたサッカーを見せられるようにしたいです」と誓った。高校チーム日本一を獲る夢は叶わなかったが、「リーグ戦日本一」「高校年代最強」の称号は絶対に渡さない。

(取材・文 吉田太郎)
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